政府は5月14日に閣議決定した「2010年版高齢社会白書」を公表した。白書は「21世紀初頭には(人口に占める高齢化率は)最も高い水準になり、世界のどの国もこれまで経験したことのない高齢社会になると見込まれる」と報告している。
白書によると、日本人の平均寿命は2008年現在で男性79.29歳、女性86.05歳だが、2055年には、男性83.67歳、女性90.34歳と女性は平均寿命で90歳を超える長寿となると予測している。
まず、高齢化の現状では、日本の総人口は1億2751万人(昨年10月1日現在)と前年に比べ18万人あまり減少していた。このうち、65歳以上の人口は2901万人と前年(2822万人)より79万人増え、過去最高になった。
総人口に占める65歳以上の高齢化率は前年より0.6ポイント上がり22.7%。75歳以上の人口も1371万人と人口比率で10.8%になった。
白書は、2055年には、65歳以上の人が人口の40.5%に達し、5人に2人が65歳以上の人口構成になるとみている。また、2009年では、高齢者1人に現役世代(15歳から64歳)が2.8人で高齢者を支える格好になっているが、2055年には高齢者1人を1.3人の現役世代で支える厳しい構図になるとみている。1970年(昭和45年)では9.8人で支える格好だっただけに、高齢社会の厳しさがより鮮明になってくる。
政府は高齢社会の中で、高齢者が就労して社会参画し続けることの出来る環境づくりや生活保障を図るための制度づくりなどを検討中で、年金制度については全国民が加入する所得比例年金と月額7万円の最低保障年金を骨格とする新たな年金制度制定のための法律を2013年に成立させたいとしている。
(編集担当:福角忠夫)