DNP、世界発の金券類向けリップマン型ホログラム採用用紙を開発

2010年03月12日 11:00

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リップマン型ホログラムは、使用する材料や製造プロセスが特殊なことから、偽造することが極めて困難とされている。また、意匠性も含めたセキュリティ性能については世界的な評価を獲得している。

 大日本印刷 <7912> は、商品券やギフト券など高度なセキュリティ性が求められる金券類向けに、リップマン型ホログラムを抄き込んだウィンドウスレッド用紙を世界で初めて開発。2010年5月より同用紙を使用した金券の販売を開始する。

 現在、金券類の多くは、偽造防止対策として用紙に波状に抄き込んだホログラムウィンドウスレッド用紙が使用されている。しかし金券類を発行する企業からは、年々高度化する偽造への対策を強化するため、新たなセキュリティ技術を使った金券用紙の開発が求められてきた。このような状況を受け、同社はより立体的で奥行のある画像表現が可能なリップマン型ホログラムを新たなセキュリティ技術として、ウィンドウスレッド用紙への展開を検討。今回、材料やホログラム全体の厚みなどを最適化することにより、従来の抄紙加工の条件を変えることなく、リップマン型ホログラムの抄き込みが可能なウィンドウスレッド用紙の開発に成功したという。

 このリップマン型ホログラムは、特殊な材料や製造技術・プロセスが必要であることから、極めて偽造が困難。また、エンボス型ホログラムは、画像を表現するためにアルミなどの銀色の金属反射層を必要とするが、リップマン型ホログラムは、この反射層が不要なため、ホログラム画像の色や下地の色を選択できる。これにより視認性が格段に向上するだけでなく、表現の自由度が増し、高級感やプレミアム性の高い意匠性に優れた金券を提供することが可能だという。ちなみにスレッド幅2mmで5百万枚ロットの場合、1枚あたり6.5円(税抜き)だという。

 今後同社は、主に商品券やギフト券などを取り扱う企業に向けて、積極的な販促を行い、2011年までに5億円の売上を目指すという。また、各国の紙幣やパスポートなどへの用途展開なども検討中で、世界規模で蔓延している偽造問題の撲滅に貢献していきたいと考えている。
(編集担当:宮園奈美)