積水ハウスが今期の連結業績予想を発表。平成21年より販売を開始し、着実に受注を伸ばしている環境配慮型住宅「グリーンファースト」の更なる拡販や、総合的なリフォーム事業への新たな展開など、業績のV字回復に向けて明るい材料が揃っている。
積水ハウス <1928> が1日に発表した平成23年1月期の連結業績予想では、前期の赤字から黒字へとV字回復し、今期は増収増益になるというシナリオが描かれている。
その根拠となっているのが、昨年より同社が積極的に拡販を行っている環境配慮型住宅「グリーンファースト」のさらなる販売強化だ。太陽光発電システムや家庭用燃料電池を搭載し、トップクラスの環境性能を誇るこの環境配慮型住宅は、発売以来、受注数を着実に伸ばしており、昨年度は太陽光発電搭載住宅については目標の6000棟を大きく上回る7030棟、家庭用燃料電池については目標の1000台を上回る1222台を受注。さらに今年度は太陽光発電搭載住宅を10000棟、家庭用燃料電池を2400台受注することを目指しているという。
また、リフォーム事業においても昨年より自社物件のみに止まらず、一般物件のリフォーム案件も手がけ、グループ全体のノウハウを生かした取り組みを積極的に行うなど、総合的なリフォーム事業の展開を開始している。太陽光発電システムや高効率給湯器の設置、断熱性の高いサッシへの交換など省エネルギーを目的としたリフォームの需要も多くなっており、住宅版エコポイントなどの支援制度も追い風となり、さらなる成長を見込んでいる。
さらに、都市再開発事業については、今年以降に「本町ガーデンシティ」(大阪市)をはじめとする複数の大型案件の竣工を控えており、不動産市況を見据えて3年から5年の間で売却を目論んでいる。特に今年6月に竣工予定の「本町ガーデンシティ」は、日本初上陸の最高級ホテル「セントレジスホテル大阪」の入居が決定していることで話題を呼んでいるが、その他のテナントについてもおよそ入居の目処がついた模様で、低迷する不動産市況の中にあっては好調な滑り出しと言えるだろう。
平成22年1月期の連結決算では、会計基準の変更に伴い678億円ものたな卸資産評価損を売上原価に計上したことなどが影響し、8期ぶりに最終赤字となった同社だが、今期は、上記のような明るい兆しも考慮したうえで、グループ企業を含めた構造改革を徹底し、営業体制の強化を図ることで、最終的に増収増益を見込んでいる。
(編集担当:北尾準)