住宅取得の断念が日本を静かに変える。2026年に深刻化する若者の消費減退と地域定着の危機

2026年02月20日 18:47

画・「30年以内に震度7の地震が来る」半数。自宅の耐震性「わからない」3分の1。

家を買えない若者が増えた先の社会。結婚、出産、そして消費。住宅格差がもたらす構造的な閉塞感の正体

今回のニュースのポイント

・消費への影響:多額の住居費負担が、趣味や旅行、その他の内需を長期間にわたって圧迫し続ける

・ライフイベントの遅延:住まいの不安定さが、結婚や出産という人生の選択を慎重にさせる構造的要因に

・地域コミュニティの変容:定住が進まないことで、地域社会の維持や防災機能に空白が生まれる懸念

 住宅を持つことが当たり前だった世代から、持てないことが前提の世代へ。2026年、日本の住宅市場が抱える最大の問題は、価格そのものよりも、その格差がもたらす社会の変容にあります。住宅取得という大きなライフイベントを諦める、あるいは大幅に先送りする若者が増えることは、単なる個人の住まいの問題にとどまらず、社会全体の血液とも言える消費や次世代の育成を静かに、しかし確実に止めてしまうリスクを孕んでいます。

 まず直視すべきは、消費構造への影響です。家を買うために過度な節約を強いる、あるいは高額な家賃を払い続ける状況は、家計に例えるなら毎月の基本料金が非常に高いスマートフォンを使い続けているようなものです。本来、外食やレジャー、あるいは自己研鑽に回るはずだった資金が固定費に消えることで、幅広い産業における内需の冷え込みを招きます。

 次に、個人のライフプランへの影響です。住まいの安定は、人生を設計する上での土台です。この土台が揺らいでいる、あるいはいつ追い出されるかわからない、家賃負担が重すぎて将来が不安だという心理状態では、結婚や出産という長期的な責任を伴う選択をためらうのは極めて自然な反応です。これを個人の努力不足や価値観の変化だけに求めるのは、構造を見誤ることになります。

 さらに地域社会においても、定住者の減少は深刻な影を落わします。賃貸住宅に住み、数年ごとに移動する生活スタイルは自由な反面、地域の自治活動や防災対策といった見えないインフラへの関わりを希薄にします。若者が地域に根を下ろせないことは、その街の活力が失われることを意味します。

 こうした状況の中で私たちができるのは、まず住まいの問題は社会の問題であるという視点を持つことです。今の若者が直面している壁は、かつての世代が経験したそれとは全く異なる高さであることを理解し、既存のライフプランにとらわれない新しい価値観や、住まい方の選択肢を自分なりに探っていく。そのための柔軟な発想と、社会全体の対話が今こそ必要とされています。

 今のあなたが家を買わない(買えない)という選択をしているのは、決して努力不足の結果ではありません。むしろ、この変化の激しい時代を生き抜くための、一つの賢明な生存戦略とも言えます。大切なのは、家を持たないから不安定だと悲観するのではなく、その分、自分のスキルアップや新しい体験にリソースを振り向け、自分なりの人生の安定を再定義することです。社会が用意した古いモノサシに自分を合わせるのではなく、今の自分にとっての心地よさを追求すること。その主体的な姿勢こそが、新しい時代の豊かさを切り拓く原動力になります。(編集担当:エコノミックニュース編集部)