経済産業省から平成21年度「スマートハウス実証プロジェクト」を受託した大阪ガスと積水ハウスは、燃料電池と太陽電池、蓄電池を組み合わせ、家庭内のエネルギー利用を最適化する「スマートハウス」の実証実験を2月5日から開始している。
大阪ガス <9532> と積水ハウス <1928> は今月10日、燃料電池と太陽電池、蓄電池を組み合わせ、家庭内のエネルギー利用を最適化する「スマートハウス」の実証実験を報道関係者に公開した。経済産業省の平成21年度「スマートハウス実証プロジェクト」を受託した両社が、京都府木津川市にある積水ハウスの総合住宅研究所内の戸建住宅「アネックスラボ」で2月5日から開始したもので、今月中に実験結果をまとめ経産省に報告する予定となっている。
「スマートハウス」とは、家電機器やガス機器などのエネルギー消費機器と太陽電池などの創エネ機器を情報ネットワークでつなぎ、エネルギーの需要情報と供給情報を活用することで家庭での消費電力を効率的に制御し、住宅全体のエネルギーマネジメントの最適化を図る住宅のこと。最近では、地域全体での電力エネルギー利用の最適化を図る「スマートグリッド」とあわせ、世の中の関心が高まりつつある分野だ。
年度末を控え、大手の住宅メーカー各社の実証実験が次々とスタートしているが、大阪ガスと積水ハウスの両社は、経産省から事業を受託した三菱総合研究所 <3636> から再委託を受ける形で、早い段階から共同で実証実験を進めてきた。今回両社が行った実証実験の最大の特徴は、太陽電池と蓄電池に加え、天然ガスを利用して発電し、同時に発生する熱も有効利用できる燃料電池の3電池を組み合わせ、電力だけでなく熱まで含めたエネルギー利用の最適化を図ったことにある。経産省の当プロジェクトには複数の事業者が採択されたが、燃料電池を採り入れて実証実験を行ったのは両社の他にはない。
実験は、実際に居住可能な積水ハウスの戸建住宅を利用して行われ、経済性重視型や地産地消型など住まい手の好みやライフスタイルによって3電池の運転を制御できるかどうかを実証した。また、住まい手が立てた省エネ目標に対し、エネルギーの使用量が上回った場合にアラームが発生し、照明やエアコン、床暖房などの設備の運転状況を確認のうえ不要なものを遠隔操作で遮断できるかどうかも実験を行い、当初予定した動きを実証できたという。
「スマートハウス」や「スマートグリッド」の技術は、いくら高性能な設備機器を組み合わせて省エネ・省CO2を実現できても、住まい手の使い勝手や快適性が損なわれてしまうようでは世の中への普及は期待できない。実際の普及には、家庭内ネットワークの構築やエネルギーの最適制御技術、蓄電池などの設備機器のコストダウン等も必要となるが、快適な暮らしを提供しながら低炭素社会の実現を目指す両社が、実際の住宅を用いて行った今回の実験の意義は非常に大きいといえる。
(編集担当:北尾準)