単身とひとり親世帯の増 非正規雇用が生む貧困

2009年09月07日 11:00

 男女共同参画会議の監視・影響調査専門調査会が「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女について」の最終報告に向けた論点をまとめ、公表した。調査会では「自分の力だけでは乗り越えられない何らかの不利な状況(健康、教育、家庭の事情等)を抱えるために、個人あるいは世帯として経済的な自立の困難に直面している状態を中心に検討した。また、そこから、生活困難の所在とその実情を探り、背景にある男女共同参画をめぐる問題について検証、考察した」としている。

 調査会によると、経済社会の新たな潮流として、単身世帯とひとり親世帯の増加を筆頭にあげている。これは未婚・離婚の増加や高齢化の進展によるものとしており、特に「単身世帯は今後も急増していく見込みで、国立社会保障・人口問題研究所のまとめた日本の世帯数の将来推計(2008年)によると、2030年には全世帯に占める単身世帯の割合は37.4%に上り、男性の約3割、女性の約2割が50歳時点で一度も結婚したことがない『生涯未婚』の状態になると予測されている。また、高齢単身世帯も増加し大きな割合を占めつつあるが、その数は女性が圧倒的に多い」としている。

 また、「総世帯数に占める女性の単身世帯の割合は、平成8年の11.3%から平成18年の13.2%に上昇。2人以上の勤労世帯において女性が世帯主である割合も、平成6年の4.8%から平成16年の8.0%に伸びている」。

 労働市場で非正規雇用者の増加も目立っている。「女性に占める非正規労働者の割合は半数を超え、男性についても2割に届く水準になっている」という。

 所得に不安定さを反映して生活保護を受給する世帯は高齢者世帯、傷病者・障害者世帯、母子世帯に加え、「最近の傾向として、50代の男性で生活保護を受給する人々が増えている。このような層が今後さらに増えていくことが懸念される」と警鐘を鳴らす。

 調査会は「自立に向けた力を高めるための課題として、若年期におけるライフプランニングを考えるための教育の充実、教育領域と職業領域等の連携に基づく若年期の自立支援の充実、暴力被害当事者等のエンパワーメントに向けた支援の充実、高齢期における経済的自立や社会参画の実現に向けた取組の推進」などをあげ、「雇用・就業の安定に向けた課題として、雇用の場の改革、女性の就業継続や再就業を支援するための環境整備、ライフスタイルに中立的な税制・社会保障制度への見直し等をあげ、安心して親子が生活できる環境づくりに関わる課題として、困難を抱える親子を地域で支える仕組みづくり、生活困難の次世代への連鎖を断ち切るための取組、国際化に対応した支援体制の強化(国際結婚や在留外国人とその子どもへの支援)、等」をあげた。
(編集担当:福角忠夫)