日本総合研究所が4月に発表した、2013年夏季賞与の見通しによると、民間企業で支給される今夏のボーナスは一人当たり前年比プラス0.4パーセントの36万円、国家公務員はプラス2.9パーセントの52.8万円で、夏季賞与としては実に3年ぶりに増加に転じる見込みだ。全体の改善幅は小幅にとどまり、08年のリーマンショック以前の水準と比べると依然として低いが、それでも明るい見通しであることは間違いない。
それに伴い、各業界では早くも夏のボーナス商戦を見越したラインナップが出揃い始めている。今夏の売れ筋商品と見られるのは、やはりスマートフォンやタブレット。そしてここ数年苦戦しているものの、4K路線で巻き返しを図る液晶テレビだろう。
2011年12月に世界で初めて4Kテレビを商品化した東芝<6502>は28日、新型4K対応液晶テレビ「REGZA Z8X」シリーズを6月下旬から発売すると発表した。このZ8Xシリーズは58型、65型、84型、で展開されるが、とくに58型は1インチ当たりの価格が1万円を切り、国産4K最安値の商品となることで話題を呼んでいる。 また、Z8Xシリーズの発売に合わせ、最大6チャンネル、15日分の番組をまるごと録画できることで好評の、REGZAのタイムシフトマシン機能に対応した4.5テラバイト、約7万円相当のハードディスクを無料で搭載するキャンペーンを9月25日までの期間限定で展開するという。
話題が高まりつつある4Kテレビ市場でのニーズを先取りし、追従するソニー<6758>やシャープ<6753>へのリードを広げ、テレビ事業の収益力アップを図りたい考えだ。もちろん、昨年から参入したソニーやシャープも、今夏の商戦に向け、価格を抑えた普及型の4K対応テレビの投入を計画しており、三つ巴のシェア争いが起こることで、国内の4Kテレビ市場が一気に拡大することが期待されている。
そんなテレビ市場の動きに相まって、注目されているのがレコーダ市場である。
東芝がREGZAのキャンペーンでハードディスクを使用しているように、ハードディスクやブルーレイ、DVDなどのレコーダは、今や欠かせない存在となっている。レコーダ機器はいうまでもなく、音や映像をメディアに残すためのもの。
しかし、ただ撮って残すというだけではなく、4K時代の到来を控え、いかに高画質で保存するかということが求められている。テレビがせっかく4Kになっても、それを保存するレコーダが対応していなければ意味がない。
例えば、SONY<6758>は、4Kアップコンバート出力に新たに対応した「CREAS Pro for 4K」を搭載したBDZ-EX3000を、パナソニック<6752>も新開発の4K対応システムLSI「新ユニフィエ」により、同社独自の「4K ダイレクトクロマアップコンバート方式」を実現した、4Kならではの高精細映像を楽しめるディーガのプレミアムモデルDMR-BZT9300を展開して、来るべき4K時代への対応を始めている。
4K解像度の必要性に関しては、未だに専門家の間でも意見が分かれているようだが、今夏を境に、市場は間違いなく4Kテレビに向けて動き出すだろう。そしてこの流れは、日本国内のみならず、世界規模のものだ。
これから夏に向けての景気の動向とボーナスの金額次第では、世界が注目する高精細映像をいち早く検討してみるのもいいかもしれない。(編集担当:藤原伊織)