フルハイビジョンの4倍の解像度を持つとされる「4K」。次世代の映像表現として、今世界中で注目されている。昨年いち早く4Kテレビを市場に投入したソニー をはじめ、ここにきて東芝 やシャープ 、パナソニック も4Kテレビを発表するなど、日本の大手電気メーカーの足並みが揃ってきた。さらに、サムスンやLGといった韓国の大手電子メーカーも4Kテレビの積極的な展開を見せ始めるなど、本格的な4K時代の到来を期待させる状況になってきた。
しかし、4K技術はテレビに限ったことではない。テレビやタブレット端末、プロジェクターなど観賞する受け身のツールから、4K映像を撮影するためのカメラ機器まで広がりを見せているのだ。
業務用カメラなど、プロフェッショナルソリューションの映像機器分野では、ポストHDに向けて、4Kカメラにいち早く取り組んできたソニーは、4K対応カメラ「PMW?F55」と「同F5」2機種を2月に発売する。レンズやレコーダー、モニター、メモリーカードなど周辺機材も拡充し、4K映像関連製品のラインアップを強化することで、まずは業務用での普及を促していく方針だ
一方、昨年の1月に「CINEMA EOS SYSTEM」という新プロジェクトで映像製作用のカメラ市場に本格参入したキヤノン も4K対応を加速させている。昨年12月には、キヤノンEFマウントを採用し、EFシネマレンズ・EFレンズを使用可能「EOS 1DC」を発売し、4K対応機種を3機種に増やしている。1DCは一眼レフカメラと同等の大きさに小型化したことから、狭い場所で屋外のロケなど、厳しい環境下でもハイクオリティな映像が撮影でき、すでに一部のテレビ番組などでも使用されている。さらに、今年に入って、新たに4K対応の単焦点レンズ2機種を発表するなど、4K対応機器のラインナップ充実を急いでいる。
キヤノンが2008年に投入した「EOS5D MARK2」は、低コストで美しい映像が手軽に撮影できるとあって映像制作の分野において革新をもたらした。そして今後は、4Kデジタルカメラの登場で、さらにハイグレードな画質が要求される映画製作などプロフェッショナルの現場においても、空気の粒まで映し出すような高画質な絵を作り出す4Kカメラの存在は、表現方法の広がりと、新たな可能性をもたらせるものと期待されている。さらに、4K対応の映画館も増えてきていることから、4K映像機器の普及は今後徐々に広がりを見せていくように思われる。
テレビ、カメラなど、あらゆる分野で加速する「4K化」の流れ。しかし、膨大なデータを処理するための映像圧縮方法や、価格の部分で、一般の消費者に普及するにはまだ時間が必要のようだ。しかし、日本の電気メーカーが復活を図るためには、「4K」というキーワードを避けては通れないだろう。「3D」があまり浸透しなかったことを反省しつつ、「4K」分野ではしっかりとしたマーケティング戦略のもと、日本メーカーが世界の市場を牽引し、新しいスタンダードを構築してくれることを期待している。(編集担当:北尾準)