微生物の休眠中遺伝子を覚醒させる技術に成功

2009年04月30日 11:00

 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構とアステラス製薬は世界で初めて、微生物の休眠している遺伝子を目覚めさせ、新たな抗生物質を発見するための技術に成功した。

 この技術は、リボゾームまたはRNAポリメラーゼに変異を導き、実用性の高い技法で休眠遺伝子を活性化させるもので、新しく発見された抗生物質はピペリダマイシンと命名された。

 最近の研究から微生物、放線菌には休眠遺伝子が多数存在することが判っており、抗生物質を作る遺伝子の約8割が休眠遺伝子で、未利用のままになっている。

 「新技法は微生物からの新薬発見に道を拓くもので、技術の汎用性を考えると、医学のみならず農業や工業での微生物利用に大きな弾みをつけることになる」。

 研究予算は文部科学省技術振興調査費「開放的融合研究プロジェクト」(5年・25億円)と文部科学省科学技術振興調整費「産学官プロジェクト」(3年・3億円)から充てられている。