薬「ネットで売って」「自殺者出るからやめて」

2009年02月26日 11:00

 「なんとか薬を買い続けたいので、ネット販売を行って」「睡眠薬で自殺する方がいて困りますからやめてください」。こうした意見が毎日のように舛添要一厚生労働大臣に寄せられているそうだ。

 2月6日に医薬品のネット販売や通信販売に関する厚生労働省省令(通販で認めるのは第3類医薬品のみとすること)が公布されて以来、離島で薬局がなく、通信販売により第2類に該当する医薬品を購入している人たちや身体障害者で医薬品を通信販売で購入している人たちへの対応をどうするのかとの指摘や、電話応対により医薬品を提供してきた伝統薬の販売業界からは死活問題などの反発が相次いでいる。

 これは、インターネットなど通信販売での医薬品販売について、厚生労働省が「安全性の確保を図る必要から医薬品販売は対面販売が原則」との方針を示し、6月から医薬品の通信販売は副作用のリスクが低く、医薬品購入者に説明義務を課していない第3類医薬品のみについて認めるとの省令を公布したためだが、舛添要一厚生労働大臣も「第3類医薬品に限定した場合に生じる弊害を解決する必要がある」との考えから、大臣指示による「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」を立ち上げ、2月24日、第1回会合を開いた。会合には舛添大臣も出席。省令に賛成、反対の両派が自由闊達な議論を進めることを求めた。

 検討会は井村伸正・北里大学名誉教授を座長として、19人のメンバーからなり、省令施行の6月までに数回会合がもたれる予定。事務局では第2回検討会の開催日を調整している。

 第1回検討会が始まる前、舛添大臣は「国民の皆様方それぞれの立場がありますし、漢方薬の伝統的な薬ですとか、毎日のように私のところにメールとか手紙が来まして、『なんとか薬を買い続けたいので、ネット販売を行ってください』という方がいますし、『これを解禁するとまた睡眠薬で自殺する方がいて困りますからやめてください』という人もいます。国民の間で広く議論が進むことが重要ですので、その第一歩にしたいと思っております」と記者団の質問に答えた。

 検討会で、規制に反対の三木谷浩史・楽天代表取締役らネット業界からは「販売する個数を制限するなど、ネット販売でも安全は確保できる」、伝統薬販売業界からは「企業が存続できなくなる。伝統薬の文化遺産が失われる」などと訴えた。一方、全国薬害被害者団体連絡協議会の増山ゆかりさんは「安全性の確保には対面販売が必要」と話し、児玉孝・日本薬剤師会会長は「第3類医薬品は販売が可能になったが、本来はすべて禁止すべき」との考えを示すなど、それぞれの立場からの意見が出された。安全性と利便性のバランスをどう図るのか、再検討の議論は始まったばかり。省令の見直しも含めて議論が深められることになる。

 検討会の構成メンバーは児玉孝・社団法人日本薬剤師会会長、阿南久・全国消費者団体連絡会事務局長、小田兵馬・日本チェーンドラッグストア協会副会長、三木谷浩史・楽天代表取締役、高柳昌幸・全国配置家庭薬協会副会長、増山ゆかり氏(全国薬害被害者団体連絡協議会)、足立慶宣(日本置き薬協会常任理事)、綾部隆一(全国伝統薬連絡協議会)、今地政美(福岡県保健医療介護部薬務課長)、井村伸正(北里大学名誉教授)、北史男(日本OTC医薬品協会医薬品販売制度対応協議会委員長)、倉田雅子(納得して医療を選ぶ会)、国領二郎(慶応義塾大学総合政策学部教授)、後藤玄利(日本オンラインドラッグ協会理事長)、今孝之(社団法人全日本薬種商協会副会長)、下村壽一(東京都福祉保健局健康案全部薬務課長)、松本恒雄(一橋大学大学院法学研究科教授)、三村優美子(青山学院大学経営学部教授)、望月眞弓(慶応義塾大学薬学部教授)。