非正規労働者生活・就労支援基金の創設を

2009年01月28日 11:00

 民主党ならびに社会民主党、国民新党は、1月27日、日本経済団体連合会を訪ね、御手洗冨士夫会長あてに「今回の雇用危機を乗り切るために、企業には労働法制の遵守、社会保険の適正な適用及び雇用の維持・確保に向けた企業としての社会的責任を果たしてほしい」との要請書を提出した。

 特に「失業者・求職者の職業訓練や就労支援など、雇用のセーフティネットの拡充に資する事業を行うために経済界として『非正規労働者生活・就労支援基金』(仮称)を創設し、企業が資金を拠出するよう」求めたほか、採用内定の取り消しを安易に行わないこと。新規学卒者の採用について最大限努力すること。派遣労働者の派遣契約を中途解除、あるいは雇い止めをやむなく行う場合は、派遣会社と協力して、次の就職先の斡旋を行うこと。 派遣労働者に住宅や寮を提供している場合は、退去するまでの猶予期間を設けること。空室となっている社員住宅や寮等を求職者に提供する等の取組みを行うこと、など弱い立場にある労働者や就職希望の学生らを保護するため、最大限の企業努力を求めている。

 この日は、民主党緊急雇用対策本部の菅直人本部長(代表代行)らが、大手町の経団連会館を訪ね、経団連側からは、副会長で経営労働政策委員会委員長(全日本空輸会長)の大橋洋治氏と経団連雇用委員会委員長(王子製紙会長)の鈴木正一郎氏らが面談に応じた。

 菅氏は「年度末にあたる3月末に向けて一層深刻な事態になることが予想される雇用情勢に対する緊急的な対策である」と要請内容について説明。派遣労働者に対してやむを得ず派遣契約の中途解除、雇い止めを行う場合の住宅支援や生活支援を実施するとともに、安易な採用内定取り消しを行わないよう求め、雇用のセーフティネットの強化が必要だ」と指摘した。

 また、面談では「株主配当や役員報酬が上がる一方で労働分配率が低下傾向にあるとしてバランスが間違った方向にいったのではないか」との指摘も行ったと菅氏は記者団に面談での内容を説明。「全体としては大いに真剣に向けとめられ、前向きな姿勢だった」とし、新卒者の内定取り消し、派遣労働者の契約解除に関しては各企業に対して法令遵守を徹底するよう指示するとの回答が得られたことを明らかにした。