一般用医薬品 インターネット販売で見解2分

2008年11月20日 11:00

 改正薬事法が来年6月1日から全面施行される。これに伴い、一般用医薬品の販売制度が見直され、リスク(副作用の危険度)に応じて一般用医薬品を第1類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品と分類するとともに、リスクの高い第1類は薬剤師が商品説明を行ったうえで販売できることとし、リスクが比較的高い第2類とリスクが比較的低い第3類は薬剤師のほか、改正薬事法によって創設された登録販売者が販売できることとなる。

 しかし、インターネットなどによる医薬品販売については、厚生労働省と政府の規制改革会議との間に、1類、2類の医薬品の扱いをめぐり見解に違いがあり、流動的な状況になっている。

 厚生労働省は改正薬事法が全面施行される来年6月1日以降、「インターネット販売を含む通信販売による一般用医薬品販売については第3類医薬品に限定する」との判断をしている。先の同省内での検討会でも論議の上での結論として、この解釈に立って、省令で規制する考えだ。

 これに対し、規制改革会議は今月、規制改革会議としての見解をまとめた。そこでは、「厚生労働省はこれまで、一般用医薬品のインターネット販売などについては、薬事法上、『店舗による販売または授与』とは必ずしも店頭に限定するのもではないとの解釈のもと、適法としてこれを容認してきた。今回の薬事法の改正は技術的な修正にとどまり、法の趣旨自体の変更はないのだから、従来から認めてきたインターネット販売などは依然として適法であり、省令によって制限する法的根拠は存在しない」として、すべての一般用医薬品の通信販売を認めるよう求めている。

 加えて、同省の方針について「省令により、法律の想定を超えて国民の権利義務を制約することは法の授権範囲を超える違法な措置で、法治国家として許されるものではない」と通信販売できる医薬品を第3類医薬品のみに規制することは法の授権範囲を超えると断言。

 また、「インターネット販売などへのニーズはコンビニエンスストアなどでは代替できない」「従来、近くの薬局で扱っていないためインターネットを通じて購入していた漢方薬などを今後は購入できなくなる人もでてくるなど、今回の省令案は消費者の利便性を阻害することは明らか」「厚労省は民間調査でインターネットによる販売は規制すべきとの意見が47%、規制すべきでないは28%となっていると報告するが、調査の母集団はインターネット販売を利用しないものがそのほとんどを占めており(97%)、消費者の意見が反映されていないばかりか、設問設定も誘導的で、規制の必要性の根拠とするのは不適切」などと反論している。

 規制改革会議は「情報通信技術は日進月歩であり、消費者の安心安全を担保することは技術的に充分可能と考える。このことから、店頭での販売方法とのイコールフッティング、公平性を確保した新たなルール整備に早急に着手すべき」と新たな対応を求めている。