健康食品の安全性を確保するための方策を検討してきた厚生労働省「健康食品の安全性確保に関する検討会」が今月、報告書をまとめた。消費者にとってより安全性の高い製品が供給されるために、原材料の安全性の確保をはじめ、製造工程の適切な管理、健康被害情報の収集・分析、消費者に対する情報提供や相談支援等について方策を提言。特に、原材料の安全性や製造工程の安全性確保に向けた方策として、その実施状況を第三者機関が確認する仕組み(第三者認証)の創設を提言しており、今後、具体化による成果が期待されている。
検討会はまず、製造段階での「健康食品」の安全性確保を図るための具体策として、「錠剤、カプセル状等の食品については従来から原材料の安全性自主点検ガイドラインや適正な製造工程管理に関するガイドラインが示されてきたが、このような取組をさらに進め、それが消費者にも把握できるようなものとなるようにするため」(1)原材料については、文献検索による安全性・毒性情報等の収集をはじめ、食経験に基づいて安全性が担保できない場合には、原材料等を用いた毒性試験の実施を行うなどの方策を求めた。
また(2)製造工程管理による安全性の確保へ「成分の濃縮等の加工工程を経る錠剤、カプセル状等の食品については、原材料等の受入れから最終製品の包装・出荷に至るまでの全工程における製造管理・品質管理の体制の整備(GMP・適正製造管理)が重要で、これらの実効性の確保のために(3)原材料の安全性及び製造工程管理による安全性の確保の実施状況について、第三者機関が確認する仕組み(第三者認証)を設けることにより、消費者がより安全性の高い製品を選択できるようになり、製造事業者において安全性向上への取組が促されることも期待できるとして、第三者認証制度の創設を提案している。
この中で、第三者認証の仕組みとして(1)認証機関については法令に基づく指定等ではなく、学識経験者や消費者、製造事業者等からなる認証協議会を組織し、認証機関の指定や認証基準の設定、認証機関の指導監督等を行う体制をとる。(2)認証協議会の設立・運営等に当たっては、行政当局も情報交換、連携を図るべき。(3)認証を受けたことを示すマークを統一し、消費者にとって分かりやすいものにするとしている。
次に、「健康食品」に起因する健康被害情報の収集、処理体制の強化については、被害の拡大防止や再発防止のために有益であり、今後は「健康食品」と健康被害との因果関係が必ずしも明確でない場合や被害の程度が重篤でない場合も含め、より積極的に情報収集を行うことが期待される、とし(1)医師等への情報提供(「健康食品」の現状、過去の被害事例等)の推進(2)食品行政機関において、消費者行政機関が把握している健康被害事例についても的確に情報収集・分析ができるよう十分な連携を図る(3)製造事業者による市販後調査の拡大を図るなどをあげている。
一方、消費者に対する普及啓発への取組では、「健康食品」に関する誤った情報や過大な期待が氾濫する現在、健康被害の発生等を防ぐためにも、「健康食品」の安全性や健康食品一般に関する正しい知識の普及啓発を行うことが必要として(1)製造事業者による適切な摂取目安量や注意喚起の表示(2)・アドバイザリースタッフについて、養成課程や活動のあり方に関し関係者において協力しながら一定の水準確保のため取組を図ることなどをあげている。