今年の漢字「金」が示す混沌とした1年

2012年12月15日 10:45

 いまや年末の風物詩となった1年の世相を表す「今年の漢字」が、今年も京都の清水寺にて発表された。2012年を最も象徴する一字として選ばれたのは「金」という漢字だった。

 この「今年の漢字」は、(財)日本漢字能力検定協会が毎年清水寺で発表しており、選考方法はその年をイメージする漢字を全国から公募し、最も応募数が多かった一字が選ばれる。今年は合計258,912票の応募があり、「金」が9,156票(3.54%)で1位となった。2位の「輪」は7867票、3位の「島」は5054票となっており、4位「領」、5位「乱」、6位「空」、7位「政」、8位「復」、9位「輝」、10位「国」と続いている。

 「金」が選ばれた理由としては、ロンドンオリンピックのメダルラッシュや山中伸弥教授のiPS細胞の研究によるノーベル賞受賞、吉田沙保里選手の国民栄誉賞受賞、世界一の自立式電波塔である東京スカイツリーのオープン、932年ぶりの金環日食など、「金」を連想させる良い出来事が多かったことが挙げられている。しかし一方で、赤字財政や生活保護費の不正受給問題、消費税の増税問題など「お金」にまつわる問題が数多く表面化したことも大きい。ちなみに2位の「輪」はオリンピックや金環日食から、3位の「島」は領土問題が浮き彫りになったことからだという。

 「金」は2000年に続き2回目の選出で、同じ文字が選ばれたのは初めてだが、当時は高橋直子選手や田村亮子選手のシドニーオリンピックでの金メダルの獲得や、南北朝鮮統一の実現に向けた金大中と金正日の“金・金”首脳会議、2千円紙幣の誕生など、どちらかというと前向きな理由が大きく占める「金」というイメージであった。今年の「金」は、数多く打ち建てられた金字塔と、長引く不況が引き起こす「お金」絡みの問題、明暗といっても良いほど相反する印象から選出されている。

 また昨年は、東日本大震災の影響やなでしこジャパンの固い絆によるワールドカップ優勝などのインパクトが多大だったこともあり、過去最多の応募総数496,997票のうち、「絆」が61,453票(12.36%)という圧倒的な支持率で1位を獲得したが、今年は応募総数も半減。1位の「金」が9,156票(3.54%)という低い支持率だったことを考えても、良い出来事が起こっても、政治不安や経済不況などが日々の生活を占めるという混沌とした1年であったことが裏付けられるだろう。

 2013年を目前に控えた師走、最後まで混迷の1年を象徴するかのように、衆議院選挙も行われている。この「金」が日本の明暗どちらの未来につながっていくのか、“大金星”をもたらすような救世主の出現に期待したい。