日本ペンクラブ 外国人排斥状況に緊急声明

2025年07月17日 06:32

 文筆家らおよそ1500人で構成する一般社団法人日本ペンクラブは15日「選挙活動に名を借りたデマに満ちた外国人への攻撃は私たちの社会を壊します」と異例の緊急声明を発表した。

 声明は「参議院選挙を通じ、与野党を問わず、一部の政党が外国人の排斥を競い合う状況が生まれている。しかも、刺々しい言葉で、外国人を犯罪者扱いし、社会の邪魔者のように扱うことが、さも日本の社会をよくするかのように振舞っている」と警告。

 特に「違法外国人ゼロ、日本人ファースト、管理型外国人政策など、表現の仕方は違えども外国人を問題視するような政策が掲げられ『外国人犯罪が増えている』『外国人が生活保護や国民健康保険を乱用している』『外国人留学生が優遇されている』といった根拠のないデマが叫ばれている」と強く懸念。

 そのうえで「これらは言葉の暴力であり、差別を煽る行為。デマと差別扇動が実際に関東大震災時の朝鮮人虐殺等に繋がった歴史を私たちは決して忘れることはできません」と強く懸念を示している。

 日本ペンクラブは「私たちはこれまで過去の反省に立って多文化共生社会をめざし、すでに多くの自治体ではそのための条例も施行されています。一部政治家によるいっときの歓心を買うための『デマ』や『差別的発言』によって(民主主義社会が)後退し崩壊していくことを私たちは決して許しません」と訴えている。

 立憲民主党の野田佳彦代表は「自民党までも『違法外国人対策』を政策の柱にした。『違法外国人って何ですか』。違法なことは外国人も日本人もやってはいけないんです。ルールは、みんなに同じように適用しなければいけないのではないでしょうか。逆に、治安の問題や心配される地域が出てきています。『ルールを守ってもらいましょう』ということをやっていきましょう」と「多文化共生社会実現へ、多文化共生社会のための基本法をつくりたい」と街頭演説でアピールしている。

 海外で暮らす日本人、就労する日本人に対し滞在先の国で同様の現象が起きれば国民感情としていかがなものか。目指すべきは「ルールを守ってもらいましょう」と呼びかけるにとどめる姿勢こそ、相互間に信頼関係が生まれるのではないか。(編集担当:森高龍二)