平成19年度食料・農業・農村の動向(食料・農業・農村白書)が閣議決定された。それによると、日本の農業構造や農業経営の動向では「農地面積の減少や農業従事者の減少・高齢化が進行しており、農業構造が脆弱化している」と指摘。基幹的農業従事者の2人に1人が65歳以上の人たちで担われている実態が浮き彫りになった。また、農家1戸あたりの農地面積は1・8ヘクタール(2006年)でEUの9分の1、米国の99分の1、豪州の1902分の1になっていた。
水田作の個別経営の総所得は主業農家が468万円で、準主業農家の478万円を下回った。総所得に占める農業所得の割合は主業農家で70%、準主業農家で10%、副業的農家で3%。
白書は「水田作農家の農業所得は米価の長期的低下影響により全体的に減少しているが、一部の農家では規模の拡大や経営の多角化により農業所得を増やしている」としている。
耕作面積や農業就業者の推移をみると、耕作面積は2005年時点で469万ヘクタール。40年前(1965年)に比べ22%減少していた。逆に耕作放棄地は38万6000ヘクタールに及んでいる。農家戸数は285万戸で、40年前の約半分になっていた。農業就業人口は335万人で、40年前比較で29・1%にまで落ち込んでいる。さらに、基幹的農業従事者となると224万人となり、40年前(894万人)の4分の1になり、しかも、65歳以上の比率は57・4%になり、10年前(39・7%)より、高齢者比率が大幅に増えた。基幹的農業従事者の2人に1人が65歳以上の人たちで担われている実態が浮き彫りになった。
白書は多様な農業経営の発展のためには「農業経営の安定と競争力の強化を図るためには、経営の多角化や高付加価値化に取り組み、担い手や集落営農をはじめとする多様な農業経営を発展させることが重要。その際、ITの活用、有機農業や輸出への取組、食品産業との連携の強化が重要」とするとともに、「直売所等で販売する農家の数は、5年間(2000年から2005年)で4倍に増加。また、稲作の法人経営では、生産だけを行うより、直販、加工、観光と経営を多角化するほど売上高が高くなる傾向。小規模農家や女性・高齢農業者が農産物の加工・販売、農家レストランの経営を行う取組もみられ、集落の維持、地域の活性化に貢献している」と報告。このほか「農村には、農地、農業用水等の農業の基礎的資源が存在し、それらが適切に維持・管理されることによって、生物多様性の保全につながり、地域環境の保全に寄与。特に水田は、食料の安定供給に加え、国土の保全、水源のかん養、美しい景観の形成等様々な役割を発揮しており、地域が一体となって保全していく必要がある」としている。