独自の技術力などを備えた中小企業の建設業者らの中には海外進出に意欲を示すところも出てきていることから、国土交通省では、建設業許可取得企業のうち資本金2000万円から5億円までの1万社に対し、地方・中小建設企業海外進出調査を実施した。その結果、850社から回答があり、このうち、海外での建設請負実績がある企業が25社、実績はないが、海外での建設事業に関心があるという企業が85社あることがわかった。また、海外進出の課題にあげられた筆頭は「言語の問題」だった。
調査は今年2月24日から3月13日までの間で実施され、回収率は8・4%と低かったが、多くの建設企業が海外進出時の課題として「言語の問題」や「現地特有の法制度への適合」、「海外での人脈づくり」「現地従業員の雇用など現地就労システムへの適応」などをあげたことから、同省では「海外の法制度や海外建設情報の収集に努めるとともに、海外の市場に対応出来る技術者の教育などを進めることが必要であることがわかった」としている。また、その他の課題として、伝染病など衛生面の問題や銀行口座開設や税制対策など現地金融システムへの適応をあげる企業も目立った。
同省では「請負実績のある企業の多くが日本の建設会社の下請として、主に東アジア・東南アジアで電気・給排水・空調工事、地盤・土工事などを担当していたが、単独で元請した企業も6社あり、海外建設企業の下請を行った企業も3社あることが分かった」としている。
また、海外進出のきっかけについて、日系企業からの参加要請があったというものが11社と最も多く、次いで、経営者の方針(10社)売上拡大のため(7社)が続いていた。そして、これら企業の7割近くは再び海外で工事を請け負うことを希望。また、実績はないが、海外建設事業に関心があると回答した企業は「精度の高い施工や工期遵守をセールス・ポイントに海外進出に前向きな姿勢を示している」と同省では評価している。