脳梗塞や腫瘍等の診断につながる新技術開発

2008年04月25日 11:00

 日立製作所は明治国際医療大学医学教育研究センター・田中忠蔵センター長と共同で脳梗塞などが発生している箇所に蓄積した乳酸を、MRI(磁気共鳴撮像装置)を用いて、高速・高精度で画像化できる「乳酸イメージング技術」を開発した。

 乳酸は酸素が欠乏した箇所に蓄積される性質があり、乳酸の分布状況を画像化することにより、脳梗塞によって血流が低下し、酸素欠乏が生じている領域や、腫瘍で異常増殖を繰り返し酸素供給が追い付かない領域などの特定が可能になる。

 開発された技術は、将来、脳梗塞などの発生箇所を短時間で測定する手法として期待でき、将来は脳梗塞や腫瘍等の診断を支える技術に繋がるとしている。

 日本人の死亡原因の上位を占める脳梗塞や腫瘍などの観察精度を上げるには、生体組織や臓器の形を観察する形態計測に加え、疾患に関連して体内で生成、蓄積される代謝物の分布を観察する代謝機能計測が重要になると考えられており、脳梗塞や腫瘍に関連する代謝物の一つとして、乳酸があげられている。

 これまで、乳酸と脂肪は磁気共鳴を生じる磁場の周波数が同一であることから、両者の区別が困難とされてきた。研究チームは、各分子から発生する磁気共鳴信号の波形がわずかに異なる現象を利用することで、両者を区別できることに着目し、成功した。