ハーグ条約加盟で、家族の在り方変化?

2013年06月24日 08:32

 国際結婚が破たんした場合、夫婦で子どもの奪い合いが起きた時のルールを定めた「ハーグ条約」に加盟するための、関連法案が、このほど国会で成立した。日本は加盟していなかったが、これで年度内の加盟が決定する。

 ハーグ条約は、現在アメリカや欧州連合(EU)を始め、韓国など89ヵ国が加盟している。しかし国によって家族観は違う。

 日本においては、他の国に比べて、母子密着傾向が強いと言うのが一般的だ。そして離婚後の共同親権が認められていない。こうしたこと考慮すると、ハーグ条約加盟で、家族の在り方が、変化していくのではないかと、懸念する向きもあるのは確か。

 ハーグ条約とはそもそもどうした条約なのか。1983年発効したもので、正式名称は「国際的な子どもの奪取の民事上の側面に関する条約」のこと。つまり国際結婚の破たんで、一方の親が、16歳未満の子どもを国外に連れ去り、もう一方の親が親権を求めた場合に、原則として、子どもを元の国に戻すことを義務付けたもの。

 最近国際結婚で外国に住み、破たんし、子どもを連れて日本に帰る妻が急増していることもあり、こうしたケースに適用される法案だ。

 日本とハーグ条約加盟国との離婚、親権などの考え方に温度差があり、国内法改正の議論が高まってくることになろう。ハーグ条約の運用を一つ間違えば、日本は国際的信用を失うことは必至。条約趣旨をよく理解し、厳格な運用が求められるだろう。

 実際日本に連れてこられた子どもも多く、その返還については家庭裁判所の判断が注目される。外国でもそうだが、国際結婚の破たんの要因は、DVと言われている。そうしたケースはどう対応していくのか、日本でも同様のケースが考えられ、「認定は慎重に行う必要がある」と専門家は語っている。

 子どもを元の国に戻すと、危険な場合も考えられる。その時も認定するのか? と言う疑問もある。日本にはこうした場合、返還を拒否できる条約実施法もある。こうしたケースで、日本の家裁が拒否すれば、各国から反発されることも予測される。いずれにしても、子どもの利益を最優先に考えた認定である、ことを望みたい。(編集担当:犬藤直也)