国際オリンピック委員会(IOC)は、5月25日、IOC評価委員会で2012年夏季五輪招致に立候補している、東京、イスタンブール(トルコ)、マドリード(スペイン)の3都市を現地調査し、その評価報告書を発表した。
国際オリンピック委員会(IOC)は、5月25日、IOC評価委員会で2012年夏季五輪招致に立候補している、東京、イスタンブール(トルコ)、マドリード(スペイン)の3都市を現地調査し、その評価報告書を発表した。
それによると東京は、治安、輸送能力、財政面などいずれも高い評価を受け、問題点はほとんど指摘されなかった。イスラム圏、初を掲げるイスタンブールは、輸送面と、治安面で、国境を接するシリア内戦が懸念材料に挙げられるなど厳しい評価となった。当初五輪招致に優位とされていたマドリードに対しては、経済危機のリスクなどの財政面が指摘され、東京が現段階では断然有利になった。五輪招致へ1歩前進したのは間違いない。
報告書は、開催理念や、競技会場、財政、輸送計画など多岐にわたり、各項目について評価しており、総合評価は明らかにしていない。東京はそのすべての面で高い評価を受けており、東日本大震災に関しても電力供給面、津波への安全対策ができているとして、懸念材料にはならなかった。心配された国民の支持率も、4年前の55.5%から70%に上昇し、目立った減点は見当たらなかった。
東京のライバルと見られていたイスタンブールは、選手村から35分以内で移動可能との試算には、渋滞も予想されるので楽観的と指摘、輸送に懸念があるとの結果報告であった。しかしこれで五輪招致を楽観視すると痛い目に合う。こうした例は幾度も繰り返されてきたのは周知の東リ。イスタンブールはこの結果で、躍起となって解消に乗り出し、輸送面が解消できれば逆に、プラスの印象を与えかねない。開催地が決まる9月7日のIOC総会まで楽観はできないといえよう。
その前に開催される7月3日のスイス・ローザンヌで、約100人の委員に向けたプレゼンテーションは、重要と言わねばならないだろう。猪瀬知事は「より高い評価を得るために、より確実な運営能力があることを深めて表現していきたい」と述べ招致に意欲を見せている。
ここにきてくれぐれも慎重な発言を望みたい。(編集担当:犬藤直也)