小銭溢れるコンビニ業界

2013年07月07日 17:43

 一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会が発表した「JFAコンビニエンスストア統計調査月報2013年5月度」によるとJFA正会員コンビニエンスストア本部10社における店舗売上高は全店ベース(調査月における営業中の店舗)で 785,526百万円、前年同月比4.1パーセントで3ヶ月連続のプラス。平均客単価は593.5円、前年同月比マイナス0.4パーセントで4ヶ月連続のマイナスであった。

 これらの数値だけを見ると、コンビニエンスストアの売上げはおおむね順調のように思えるが、同月報には、全店ベースでの統計のほか、既存店ベース(調査月において、当月と前年同月でともに営業中の店舗)での調査も行われており、こちらの数値では店舗売上高713,094百万円、前年同月比マイナス1.2パーセントで12ヶ月連続のマイナス。平均客単価は585.1円、前年同月比マイナス0.4パーセントで4ヶ月連続のマイナスであった。

 そこで、既存店のオーナーら対し、最近の売上げや来店客の様子などについて取材した。オーナーらによると、最近はどの店舗でも1万円札の取り扱いが減り、10円玉や5円玉で支払いをする客が増えているという。2、3年前であれば、給料日前であっても1万円で支払いを済ませる客もめずらしくはなかったが、最近の給料日前といえば紙幣が減りレジの中には硬貨ばかりが増えて、1回の支払いで硬貨を20枚、30枚と出す客が多くなったらしい。このような状況は、売上高としては反映されにくいが、買い物客の経済状況が良くないことは明らかだという。また、去年の夏くらいから雑誌コーナーにおいて立ち読みか客が増加し、それまで毎週、毎月と欠かさず雑誌やマンガを買っていた客までもが立ち読み客となり、それが今年の3月以降は、立ち読みすらされなくなったという。また、時を同じくして、レジ横に置いてある20円や30円程度のチョコレート菓子などがまったく売れなくなったという。それまでであれば、会計を待っている間や会計前にちょっと目に入った菓子を手に取る客が多数いたが、今では余計なものや予定外のものは買わないという客の動きが強くなり、この状況の変化によりレジ横に置いてあった商品を撤去する店舗も増えているという。

 コンビニエンスストアが新規開店する際には、きまって大幅な値下げセールを行う。当然、その間は来店客で賑わうが、セール終了と同時に客足が減り、後に買い物客どころか立ち読み客すらいなくなる。来店客の財布が潤うのは一体いつになるのであろうか。(編集担当:中村小麦)