競争が激しいスイーツ市場で伸びる商品とは?

2013年06月16日 18:52

 矢野経済研究所が今年1月に公表した「和洋菓子・デザート類市場に関する調査結果 2012」によると、2012年度の和洋菓子・デザート類市場は2兆220億円を見込まれており、前年度比98.4%と厳しい状況となっている。

 しかしながら、「お願いランキング!GOLD」など、プライムタイムの人気番組でも度々スイーツ特集が組まれるなど、以前として注目される市場であるのは間違いない。

 そんな中、メーカー各社は、スーパーなどの量販店やコンビニエンスストアの限られた売り場の獲得にむけてしのぎを削っている。とくに近年は、製品カテゴリーの枠を越えた商品や、専門店とのコラボ商品、そして趣向を凝らしたキャンペーンが目立つ。

 例えば、ロッテは本格的な夏の商戦に向けて、同社のアイスクリームブランドのキャンペーンを積極的に展開している。「北海道バニラバー」に可愛らしい牛のキャラクターを新設して名前を募集したり、北海道ギフトが当たるプレゼントキャンペーン、また、同社の人気アイスである「爽」のイメージキャラクターに、人気アイドルグループ・ももいろクローバーZを起用し「爽快!ももクロ フタの上ツアー」を開催しており、こちらはスマホにアプリをダウンロードしてカメラをかざすと、フタの上でももクロのミニライブが始まるという、最新のAR技術を駆使したものとなっている。

 また、売り場となるコンビニでも、スイーツのラインナップの充実は競合店との差別化を図り、顧客を固定化する上でも戦略的に重要なカテゴリーだ。

 例えば、ローソン<2651>では「Uchi café Sweets」と題した自社スイーツを展開し、あんこキャンペーンやロールケーキキャンペーンなどを積極的に展開している。

 また、ダイドードリンコ<2590>も、今夏の新商品として6月11日より発売を開始したジュレドリンク「甘いひととき白桃ジュレ」のキャンペーンを大々的に行っており、こちらは、主婦に絶大な人気を誇るフランスのキッチンブランド「ル・クルーゼ」のプレートやマグ、オリジナルトートバックが当たるキャンペーンを展開している。

 昨年の6月、ダイドーはドライゼリー市場でトップシェアをもつ株式会社たらみの全株式を取得して連結子会社化しており、「甘いひととき白桃ジュレ」は両社で共同開発した第一弾商品となっている。ダイドーでは、たらみを第3の柱となる新分野の事業と位置付けており、同社のブランド力と技術力を活かして、今後も飲料とゼリーのコラボ商品の開発を積極的に行う姿勢を見せているが、このキャンペーンを通して、ブランドの認知を最大限に高めていく方針のようだ。

 また、たらみ単体では前述のテレビ番組『お願い!ランキングGOLD』で商品が取り上げられたことを記念したオンラインショップ限定企画も実施しており、ゼリーの需要増が見込まれるこの季節に、通販での顧客獲得に向けたキャンペーンも展開中している。

 スイーツ市場は、市場全体としては比較的安定しているものの、消費者の嗜好が著しく変化する傾向もある。しかしながら、メーカー側としては、一過性のブームで終わらせてしまうのではなく、定番として、いかに息の長い商品になりえるか、売り場を確保し続けられるかが、命題となる。ところが、独自でマーケティングや製品開発を行い、どれだけ美味しいスイーツをつくっても、消費者に知ってもらえなければ定番になることはない。カテゴリーを超越してパイの取り合いとなっている激しい市場の中では、すぐに淘汰されてしまうだろう。そのためにも、キャンペーンは戦略的に大きな意味があるのだ。

 一方、消費者側から見てみれば、大々的なキャンペーンが繰り広げられている商品ほど、当然、メーカーが力を入れている商品、自信を持っている商品ということになる。試行錯誤の末に生み出された商品なので、キャンペーン目当てでも何でも、一度試してみる価値はあるだろう。(編集担当:藤原伊織)