【今週の展望】日経平均15000円のそのまた先はどうなる?

2013年07月21日 20:33

 思い出したくないかもしれないが、5月23日の前後を振り返ってみよう。

 5月15日に日経平均は今年初めて15000円にタッチし、終値でも乗せている。5月23日当日は前場に15942円まで登りつめた後に14483円まで真っ逆さまに暴落したが、翌24日には戻して15000円にタッチした瞬間があった。その間、15000円台を経験した営業日は8日だけだった。

 日経平均の7月19日の終値は14589円だったが、前場の高値は14953円で、5月のその8日間のレベルの寸前まで迫っていた。15942円というピークがまるで北アルプスの槍ヶ岳の頂上のように突出しているから、あとまだ989円もあると遠く感じられるかもしれないが、すでに今年の最高値圏山脈の尾根のすぐ下のところまで到達している。いろいろあったが、5月23日から2ヵ月近くかけてここまで戻ってきた。

 来週は、参議院選挙でアベノミクスが信任され、与党が大勝してねじれ現象が解消するという各メディアの予想を前提にして言えば、日経平均15000円にアタックする週になる。あと411円。ドル円相場が100円よりも円安であれば、明け方までのNY市場の影響を受けず与党が祝勝ムードに沸く22日か、翌23日あたりで「一度はタッチしておきたい」というのが市場心理だろう。その2日間の取引時間中であれば、国内の経済指標はスーパー、コンビニの売上高ぐらいしか出てこないし、主力銘柄の決算発表はまだこれからという一種の空白状態なのも都合がいい。

 だが、15000円にタッチできたとしても、終値で乗せたとしても、それよりも上に行ける要素はというと、物足りない。選挙が終わったばかりで「政策」はひと休み。各種経済指標を見ると「内需」はまだら模様で消費者心理はまだ渋い。「企業決算」も3月期決算企業の4~6月期の発表のピークは次の週になる。NY市場が史上最高値更新で沸いても日米連動はそれほどしなくなった。為替の円安もドル円が100円の大台に乗せると「ガソリンの値段が高くなって困る」などとケチばかりつけられるし、あまり長続きしない。

 テクニカル的にも、15000円という水準は25日移動平均線乖離率も騰落レシオも「上がりすぎ」のシグナルを示す高値警戒圏なので、「こなれるまで、下でもんでから」という天の声で押し戻されやすくなる。

 しかも、このところ「○○待ちの様子見」が繰り返された影響も無視できない。今週は「バーナンキFRB議長の議会証言待ち」と「参議院選挙結果待ち」だったが、「アメリカの雇用統計発表待ち」「SQ待ち」「FOMC待ち」「日銀金融政策決定会合待ち」に「成長戦略発表待ち」など、東京市場は毎週のように立て続けに○○待ちで様子見をしてきた。来週はその「待ち」はないが、ずっと受け身ばかりだったので、なければないで手持ちぶさたで停滞しかねない。そうでなくても「夏枯れ」のシーズンだから、日経平均が15000円にタッチしたら「達成感」であっさり折り返すことも考えられるだろう。

 ということで、国政選挙という「お祭り」のあとでもあり、来週は暑さの中、「虚脱感」すら漂うけだるい1週間になりそうだ。15000円にはただタッチするだけで、日経平均終値の変動レンジは14400~15000円とみる。もしポジティブサプライズがあったらシャキッとするだろうが、もしネガティブサプライズがあったら、もっと下までズルズルいってしまうかもしれない。(編集担当:寺尾淳)