【日経平均】マイナーSQは後場小動きで14506円で終了

2013年07月12日 20:17

 NYダウは30種全て上昇し169ドル高のお祭り騒ぎ。終値15460ドルで史上最高値を更新し再び未体験ゾーン。S&P500も6日続伸でITバブル崩壊前の2000年9月以来12年9ヵ月ぶりの史上最高値更新で全10業種がプラス。前日のバーナンキ発言がビッグサプライズだったらしくウォール街は「踊る大紐育市場」と化した。12日朝方の為替レートは、ドル円が98円台後半、ユーロ円が129円台半ばで円高基調は相変わらず。

 マイナーSQ算出日の日経平均は2.59円高の14475.17円で始まる。バーナンキ発言は前日に織り込み済み。午前9時6分に決算明けのファーストリテイリング<9983>に2000円安の始値がついて急落したところでSQ値14410.75円が出た。それでもTOPIXが先行してプラスに浮上し、ドル円が99円台に乗って10時前には14500円を突破し14574円まで上がるが、上海、香港市場がマイナスで始まった上に為替が円高方向に戻し、上昇幅を縮小して11時台にはマイナスに。「3連休前の金曜日は利益確定売りで下げる」というアノマリーは健在かと思われたが、TOPIXはその間もずっとプラスを維持し、日経平均も前引けでプラスになった。

 後場はプラスでスタートし、おおむね14500円台で約50円幅の小動きが続く。大引け直前に14500円を割り込んで「やっぱり3連休前の金曜日か」と思わせたが、終値は33.67円高の14506.25円で、前週末比で196円上昇して今週の取引を終えた。日経平均が一度もSQ値を下回らない「まぼろしのSQ」が出現し、このパターンは上昇相場の兆候とされている。TOPIXは+7.22の1201.99で1200台に乗せた。売買高は26億株、売買代金は2兆2931億円でSQとしてはあまり多くない。午後3時10分、1878年(明治11年)の大阪株式取引所の開設翌年に始まった大証の現物株取引が134年の長い歴史を閉じた。「北浜」の単独上場銘柄は東証に引っ越し、16日から「兜町」で取引される。

 値上がり銘柄は976で値下がり銘柄は603だったが、業種別騰落率は27業種が上昇。上位は鉄鋼、非鉄金属、ガラス・土石、パルプ・紙、金属製品、機械など。下落セクターはその他金融、小売、不動産、証券、水産・農林、空運の6業種だった。

 SQ値算出から大引けまで日経平均を完全に支配したのは「御三家」筆頭のファーストリテイリング。終値2250円安で値下がり率7位、売買代金2位と珍しくランキング入りした。日経平均マイナス寄与度は90円で、プラス寄与度上位20銘柄が束になってもかなわない。前日発表した第3四半期業績は売上高19%増、最終利益22%増でも、「いつでもセール中」というイメージ通りに販促費が利益を圧迫して国内ユニクロ事業の営業利益は47%減で、それが株価を大幅安にした。

 業種別騰落率トップの鉄鋼は、10円高の新日鐵住金<5401>が売買高4位、3円高の神戸製鋼<5406>が売買高8位と売買を伴って上昇。JFEHD<5411>は58円高で、電炉の盟主、東京製鐵<5423>は30円高で値上がり率11位。中国市場の前日の急騰が好感されファナック<6954>320円高、ダイキン<6367>125円高、コマツ<6301>61円高、日立建機<6305>58円高と中国関連銘柄は軒並み高に。三菱マテリアル<5711>14円高、住友金属鉱山<5713>50円高と資源関連株も買いを集めた。その一方で不動産大手3社、東急不動産<8815>、東京建物<8804>は揃って下落した。

 決算関係では、店舗ディスプレイの乃村工藝社<9716>は3~5月期で5期ぶりに最終黒字になり110円高で年初来高値を更新し値上がり率2位に入った。求人サイトのリブセンス<6054>は1~6月期の単独税引後利益が68%増という業績観測報道で190円高。8月中間期、2月通期の業績予想の上方修正を発表した潤滑油のMORESCO<5018>は6日続伸し103円高で年初来高値を更新して値上がり率7位。しかしガリバーインターナショナル<7599>は、3~5月期が販売台数1割増、最終利益12億円と良くても業績予想を据え置いたため41円安、値下がり率5位と売り浴びせられた。4~6月期の営業利益が1割減と報じられたユナイテッドアローズ<7606>も145円安だった。

 参議院選挙も後半戦に入り、公共インフラ関連は旺盛に買われる。太平洋セメント<5233>は15円高で4日続伸し売買高9位。大手ゼネコンは清水建設<1803>、鹿島<1812>、西松建設<1820>、前田建設工業<1824>が揃って年初来高値を更新する勢い。日本板硝子<5202>は三菱UFJモルガン・スタンレー証券がリストラ効果を評価して投資判断を引き上げ、11円高で値上がり率5位。前日終値102円の低位株で買いやすいので売買高3位に入っていた。日本維新の会がプッシュするカジノの関連銘柄オーイズミ<6428>は値上がり率4位、日本金銭機械<6418>は同15位に顔を見せていた。

 今週の主役、3Dプリンター関連は売買は多くても高安まちまち。MUTOHHD<7999>は売買高6位、売買代金11位だが5円安。値上がり率1位に3D設計のアルゴグラフィクス<7595>が入る一方、アルテック<9972>が値下がり率3位、JBCCHD<9889>が同4位。サントリー食品<2587>は上場8日目で初黒星の120円安。それでも売買代金4位の人気。KLab<3656>は103円安で値下がり率6位だったが、たそがれのグリー<3632>は15円安で年初来安値を更新。1年半前には2000円を超えていた株価は終値790円になった。

 この日の主役は「家電量販店」。大型テレビが全然売れなくなり四苦八苦していたが、日経新聞朝刊に「家電販売大手4社の6月の売上高が1年11ヵ月ぶりに揃って増加」という記事が出た。売上高10.0%増のヤマダ電機<9831>は145円高、8.8%増のビックカメラ<3048>は9~5月期の経常利益が29%増だったこともあり値上がり率14位の3050円高、17.8%増のエディオン<2730>は7円高、16.4%増のケーズHD<8282>は80円高と大手4社は揃って株価上昇。ヤマダ電機に買収されたベスト電器<8175>も5円高だった。回復の原動力はエアコンや冷蔵庫など白物家電で「4Kテレビ」はまだこれから。エコポイントと地デジ化によるテレビ特需の反動減は脱したが、「トンネルを抜けた」と判断しても大丈夫なのだろうか。(編集担当:寺尾淳)