【日経平均】午前10時15分から突然急落し終値218円安

2013年07月19日 20:12

 NYダウは78ドル高で再び史上最高値更新。新規失業保険申請件数は大きく減り、フィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予測を上回り、大手企業の決算で特に悪かったのはインテルぐらいで、株価を押し下げる要素があまり見当たらなかった。バーナンキFRB議長は上院で議会証言を行ったが、前日に引き続き金融緩和政策に変化はないことを強調。19日朝方の為替レートは、ドル円は100円台半ば、ユーロ円は131円台後半で、前日よりも円安がさらに進行していた。

「15000円乗せ」の期待を背負って日経平均は101.26円高の14909.76円と14900円台でスタート。午前9時13分には早くも14950円にタッチするが、その後は停滞して14900円を下回る。前日まで5日で400円近く上昇し25日移動平均線乖離率が8%を超える高値警戒域にあり、金曜日で利益確定売りが入りやすい上に国政選挙直前で動きづらい。10時15分、いきなりTOPIXを巻き込んでマイナスに転落し、14700円、14600円、14500円と次々と割り込んで10分ほどで14413円まで下げる。高値との落差は540円。日経平均先物を狙い撃ちする大量の仕掛け売りが出て、債券先物のほうは逆に急騰した。

 急落ぶりに「5月23日の再来か」と緊張が走るが、10時30分頃からは徐々に値を戻し、前引けでは160円安の14647円まで回復。後場はプラスまで戻せるかと思えば、為替が円高に振れドル円が一時100円を割り、14500円台後半まで下落して以後はもみあい。午後2時台はさらに一段安になるが大引け直前に戻して終値は218.59円安の14589.91円で6日ぶりに反落し、3勝1敗、前週末から83円上昇して今週の取引を終えた。TOPIXは-10.03の1211.98。売買高は36億株、売買代金は3兆1082億円で、商いはマイナーSQの12日よりも多かった。

 値下がり銘柄は1474で84%を占め、業種別騰落率のプラスはその他金融、石油・石炭、その他製品、銀行の4業種のみ。マイナス幅が小さい業種は不動産、ゴムなどで、大きい業種は非鉄金属、水産・農林、ガラス・土石、繊維、機械、パルプ・紙などだった。

 日経平均マイナス寄与度上位はファーストリテイリング<9983>、京セラ<6971>、東京エレクトロン<8035>、ファナック<6954>、アドバンテスト<6857>で、5銘柄合計で日経平均を70円押し下げて下落幅の約3分の1を占めた。プラス寄与度トップはオリンパス<7733>の+3円で、公募増資の発行価格が2886円に決定したというニュースを受けて上昇。この日の終値は89円高の3065円で179円上回っている。

 メガバンクは三井住友FG<8316>は20円安でもみずほ<8411>は1円高、三菱UFJ<8306>は5円高で堅調。証券は野村HD<8604>は10円安だが大和証券G<8601>は3円高。自動車はホンダ<7267>が20円高、日産<7201>が6円高で健闘していたが、それ以外は下落が目立つ。パナソニック<6752>は本体と三洋電機がアメリカ司法省に自動車部品、リチウム電池の価格カルテルに関与したと認定され約57億円の罰金を課されて1円安。中国が家庭用ゲーム機を来年から上海を皮切りに解禁すると報じられ、任天堂<7974>は460円高で年初来高値を更新し値上がり率14位に入ったが、「プレイステーション」のソニー<6758>は6円安だった。ゲーム関連のKLab<3656>はこの日は147円安で値下がり率1位になり、上がっても下がっても目立つ。

 オリックス<8591>は前場からプラスを堅持し77円高で値上がり率5位。成田行きのボーイング787に不具合発生でボストン空港に引き返し、運航していたJAL<9201>は50円安。ANAHD<9202>は値動きなし。原因はまだわかっていないがGSユアサ<6674>は10円安だった。フルキャストHD<4848>はリクルートキャリア調べの6月の転職求人倍率が3カ月連続で上昇した材料に加え、参議院選挙で与党が大勝すれば雇用の流動化が進み人材ビジネスは商機拡大という思惑で売買高12位と買いを集め、58円高で値上がり率トップになった。

 安川電機<6506>は前日の4~6月期の決算発表時に4~9月期の純利益見通しを上方修正したが66円安。通期見通しは据え置き。JPX<8697>はその通期見通しの上方修正を昼休みに発表したが、アナリスト予測にはまだ差があり140円下落した。建設現場の仮設型枠をつくる岡部<5959>は12月期の営業利益が過去最高の見通しと報じられ85円高で年初来高値を更新し値上がり率3位に入ったが、消防用ホースの芦森工業<3526>は製品にリコール発生で4~6月期に特別損失25億円を計上すると発表し14円安で値下がり率2位になった。

 4~6月期の業績観測報道で営業利益が過去最高更新のオリエンタルランド<4661>は200円安だったが、経常利益26%増の一休<2450>は4.14%上昇の6200円高で値上がり率8位。夏の国内旅行は過去最高の人出という予測があるので、両銘柄とも7~9月期は利益をさらに上積みできそうだ。

 この日の主役はシャープ<6753>。8月に第三者割当増資を実施し、引受先が2年前に業務提携した住設機器のLIXILG<5938>、今年5月に業務提携した電動工具のマキタ<6586>、車載用空気清浄機やカーナビで協業関係にあるデンソー<6902>の3社という報道が流れた。出資要請額は各100億円。シャープは売買高4位、売買代金9位に入り4円高で、LIXILGは20円高、マキタは140円安、デンソーは55円安。すでにクアルコム、サムスン電子から約200億円の出資を受けたが、今回、3社とも出資に合意すれば300億円追加で、1000億円規模の公募増資と合わせて資本増強が図れる。9月の約2000億円の転換社債の償還財源は主力2行の追加融資でしのげるとみられるが、その先も来年3月と9月に合計約1300億円の普通社債の償還期限が待っている。