【日経平均】ファストリがブレーキでも92円高3日続伸

2013年07月16日 20:18

 前週末12日のNYダウは3ドル高、15日のNYダウは19ドル高で史上最高値を3日連続更新中。NY連銀製造業景気指数が前月から大きく上昇しても小売売上高は市場予測を下回るなど経済指標はまちまちでも、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、シティグループの4~6月期決算がことごとく市場予測を上回ったおかげ。今週も金融の決算発表が続く。IT企業などと比べると金融企業の決算の市場予測は辛めなので、業績がそれを上回る可能性は大きい。

 15日は中国の経済指標の発表ラッシュで、4~6月期の四半期GDP成長率は市場予測を0.1ポイント下回る+7.5%で、1~3月期より0.2ポイント低下し2四半期連続鈍化。年間成長率7%弱のペースで、中国政府目標の7.5%達成は微妙な情勢。鉱工業生産は市場予測を0.2ポイント下回る+8.9%、小売売上高は市場予測を0.4ポイント上回る+13.3%、生産者輸入価格は市場予測通りの+0.1%、1~6月の都市部固定資産投資は1~3月の+20.9%から鈍化して+20.1%だった。それでも上海、香港市場は上昇し、NY市場でも「大幅減速ではなかった」と悪くない評価だった。16日朝方の為替レートはドル円は100円前後、ユーロ円は130円台半ばで前週末よりも円安が進行していた。

 大証銘柄が東証に編入され第1部が1760銘柄、第2部が571銘柄に増えた初日の日経平均は88.63円高の14594.88円で始まった。システムトラブルはなく、すぐ14600円台に乗せる。その後は高値もみあいで、上海市場が開く危険な時間帯も難なく通過したが為替が円高に振れて11時前には14600円を割り込む。後場は上昇で始っても最後まで14500円台後半で動きが膠着する。やはりバーナンキ議長の議会証言待ちの様子見が重し。終値は92.87円高の14599.12円で14600円にあと一歩で3日続伸。TOPIXは+8.55の1210.54。売買高は26億株、売買代金は2兆3219億円で、12日の売買高が4935万株の大証の分が加わってもほとんど変わらなかった。

 東証1部は値上がり銘柄数901に対し値下がり銘柄数は660もあったが、33業種騰落率のマイナスは鉱業、空運、小売、非鉄金属、ゴムの5業種のみ。プラスの上位はパルプ・紙、その他製品、電気・ガス、海運、保険、その他金融の順だった。

 日経平均寄与度については150円高のソフトバンク<9984>やテルモ<4543>、京セラ<6971>、コナミ<9766>、キヤノン<7751>の5銘柄が揃ってファーストリテイリング<9983>のマイナス寄与度46円とつりあう状態で、1150円安の同銘柄は終日日経平均のブレーキになっていた。

 メガバンク3行はみずほ<8411>は2円高、三菱UFJ<8306>は7円高、三井住友FG<8316>は25円高で順調。野村HD<8604>7円高、SBIHD<8473>19円高など証券株や、41円高のアイフル<8515>、9円高のオリコ<8585>などその他金融も堅調だった。不動産大手はロンドンのビルを約320億円で取得した三井不動産<8801>は15円高だったが、三菱地所<8802>は59円高、住友不動産<8830>は20円高。証券化のケネディクス<4321>は午後買われ17円高で売買高、売買代金とも3位に入った。その売買高も売買代金も1位を譲らないのが東京電力<9501>で、産経新聞の選挙情勢分析記事が自民党圧勝を報じたり、電力需給のひっ迫が原因ではないが前日、神奈川県で大規模な停電が起きたことで再稼働期待も盛り上がり86円高で、値上がり率ランキングでも5位になっていた。

 IHI<7013>は藻を原料とするバイオ航空燃料を量産するというニュースで前場から買いを集め売買高8位に入り16円高。富士重工<7270>は4~6月期の営業利益が前年比4倍の700億円という業績観測記事が出て46円高で上場来高値を更新し売買代金11位に入っていた。「アクセラ」HVの年内国内販売を開始するマツダ<7261>は6円高。トヨタ<7203>は50円高。「ダットサン」の名を新興国で復活させてインドで第1号車「GO」を発売する日産<7201>は20円高だったが、インドで先輩のスズキ<7269>は42円安。ソニー<6758>は15円高。ダイキン<6367>は今期のエアコンの世界生産が7%増と伝えられ60円高と好調。サントリー食品<2587>は65円高で反発した。

 ゲーム関連ではマーベラス<7844>がスペインの会社と提携し欧米向けに配信するという記事が出て値上がり率8位になった一方、KLab<3656>は12日発表の第3四半期決算で7億7000万円の最終赤字を計上して売買代金13位と売り浴びせられ347円の大幅安で、値下がり率トップだった。前週は活況を呈した3Dプリンター関連は売られ、値下がり率ランキングではアルゴグラフ<7595>が5位、群栄化学<4229>が7位、図研<6947>が10位になっていた。

 この日の主役は「阪僑銘柄」。かつて大宅壮一氏が、大阪出身者が東京の実業界で活躍するのを華僑にたとえて「阪僑」と名付けたが、この日、東証に移った旧・大証銘柄が引っ越しの挨拶もそこそこに派手にランキング入りしたり年初来高値を更新したりした。旧大証単独の錢高組<1811>は38円高でいきなり値上がり率トップで「東京のてっぺん奪取」。近鉄百貨店<8244>は15位、関西スーパー<9919>は20位。それも含めて王将フードサービス<9936>、六甲バター<2266>、神戸電鉄<9046>、山陽電鉄<9052>、シマノ<7309>、ダイヘン<6622>、サンコール<5985>など年初来高値更新銘柄が続出した。しかし旧大証単独の遠藤照明<6932>が46円安で、神戸物産<3038>が120円安で値下がり率17位になったように、期待されながら下落した銘柄もあった。同じ単独上場だったエス・サイエンス<5721>は売買高20位の大商いの末に値動きなし。12日終値が7円で、朝から超低位株マニアたちに「大阪から新しい遊び相手が来た」とおもちゃにされていた。

 旧大証の「御三家」は、日経平均次期採用有力候補の任天堂<7974>は640円高と絶好調で年初来高値更新。ローム<6963>も45円高だったが村田製作所<6981>はクレディスイス証券が投資判断を引き下げ240円の大幅安でカヤの外。大証らしい個性派の「おもろい銘柄」だった日本電産<6594>は180円高だった。東証1部入りした37銘柄は8月と10月の2回に分けてTOPIXに採用される予定で指数組み入れ期待で買われた面もあるが、リーマンショック後も大証平均株価はずっと底堅く推移していた。阪僑銘柄はそんな浪速の元気を兜町に注入し続けてほしい。(編集担当:寺尾淳)