NYダウは18ドル高。世界がかたずを飲んで見守ったバーナンキFRB議長の議会証言第1日は、年内に量的金融緩和を縮小する可能性を示唆しながら開始時期は経済状況によって調整するとしロードマップのくわしい説明もしなかった。性急に出口を論じず多様な選択肢に含みを持たせる柔軟な姿勢が市場の安心感を呼ぶ。6月の住宅着工戸数は9.9%減で市場予測を下回ったが、バンク・オブ・アメリカなど金融企業は好決算。ITはIBMの決算も悪かったが、インテルはパソコンの世界的な不振の出口が見えず売上高5%減、純利益29%減と市場予測を下回り4四半期連続減収減益と深刻だった。18日朝方の為替レートはドル円99円台半ば、ユーロ円130円台半ばで前日からあまり変化していない。
日経平均は30.21円高の14645.25円で始まり、14600円台後半での小動きから午前10時台、為替の円安進行を背景に14700円にタッチ。上海市場が小幅続落で始まっても影響なし。後場は14700円台に定着し、ドル円が100円台に乗せると先物主導で午後2時前には14800円にもタッチする。終値は193.46円高の14808.50円で14800円台に乗せた。TOPIXは+8.77の1222.01。売買高は26億株、売買代金は2兆2755億円だった。バーナンキ議長は「円安は意図的か」という下院議員の質問に対し「円安誘導の為替介入はなく、金融政策の結果だ」と日本政府と日銀を擁護したが、日経平均はそんなバーナンキ効果のおかげで5日続伸したようなものだった。
値上がり銘柄は約6割の1054を占め、業種別のプラス上位はパルプ・紙、情報・通信、繊維、石油・石炭、銀行、卸売など。マイナスは保険、その他製造、電気・ガス、鉄鋼、鉱業、海運などだった。
ファーストリテイリング<9983>は決算ショックも癒えて終日しっかり。900円高で日経平均を36円引き上げた。それに次ぐのがソフトバンク<9984>で寄与度+30円。前日にJT<2914>を抜き、トヨタ<7203>、三菱UFJ<8306>に続く時価総額第3位に上がって話題になったが、買い材料が毎日出てくる。この日はアメリカのベンチャービジネスと合弁で燃料電池による電力供給事業に参入と発表して250円の大幅高で、売買代金ランキングで1位を続けていた東京電力<9501>からトップの座を奪った。
メガバンクは三井住友FG<8316>の105円高を筆頭に堅調。野村HD<8604>も4円高だったが、不動産大手は三菱地所<8802>以外は軒並み下落し一時の勢いはない。自動車はトヨタは20円安でマツダ<7261>も三菱自動車<7211>も下げたが、富士重工<7270>は59円高で上場来高値更新。電機ではシャープ<6753>が19円高で、4~6月期の営業赤字が当初見通しの100億円程度から大幅に改善する業績観測報道が好感され売買高10位と買われた。16日の大証統合後に急伸した任天堂<7974>は490円安と急反落し値下がり率10位になっていた。
1000円高で年初来高値を更新したヤフー<4689>は関東地方で当日配達を19日から開始するという材料で買われた。56円高の楽天<4755>もそれを計画中。6月の百貨店売上高が午後発表され、前年同月比7.2%増で5月の2.6%増から大幅増。夏物バーゲンの売上が前年を3%上回った三越伊勢丹HD<3099>は15円高、Jフロントリテイリング<3086>は24円高で年初来高値を更新し、高島屋<8233>は7円高だった。専門店は後場上昇し、ニトリHD<9843>は210円高、ABCマート<2670>は45円高、ビックカメラ<3048>は650円高でそれぞれ年初来高値を更新した。
住友商事<8053>はヨーロッパの洋上風力発電に2700億円を投じて参画すると報じられ19円高。富士フイルムHD<4901>は年内にミャンマーに販売拠点を設立するという材料に加え通期の経常増益見通しが上方修正されて76円高。KLab<3656>は博報堂、Oakキャピタル<3113>への9億3000万円規模の第三者割当増資、新株予約権発行を発表し、ストップ高の300円高で値上がり率1位に入った。博報堂DYHD<2433>は40円安、Oakキャピタルはストップ高の50円高で年初来高値を更新。TDK<6762>は4~6月期の営業利益5割減という業績観測記事が出たものの、マイナス圏から急伸し120円高。大引け後に決算発表を控えた安川電機<6506>は28円高と堅調だった。
朝日新聞が朝刊で参院選の情勢分析記事を掲載し「自民、改選議席倍増の勢い」。主要メディアの予測は全て与党大勝、ねじれ解消で市場はすでに織り込み済み。その朝日新聞に西松建設<1820>が福島県楢葉町の前町長の親族企業に東京電力役員の働きかけで約2億3000万円の無担保融資を実施して全額焦げ付いたという内容の記事が出て、17円安で値下がり率ランキング1位になった。東京電力も4円安だった。
この日の主役は「半導体」。インテルの決算は悪かったが、東芝<6502>と提携しているサンディスクは良かった。日経新聞朝刊1面の「半導体増産投資2年ぶりに再開」という記事によると東芝がフラッシュメモリーの設備増強に300億円を投資し、エルピーダメモリは台湾でDRAMを増産する。東芝は11円高で売買高7位、売買代金9位と買われた。パソコンに依存するインテルと異なりスマホ向け需要の拡大に期待してのことで、そのスマホ向けから撤退してもルネサスエレクトロニクス<6723>は16円高、カスタムLSIのローム<6963>は5円安、京セラ<6971>は180円高だった。アメリカの半導体製造装置大手アプライド・マテリアルズは8日、携帯需要に合わせて半導体メーカーが生産を拡大し2014年は製造装置の売上が伸びる予測を出しており、その分野の東京エレクトロン<8035>は115円高、アドバンテスト<6857>は31円高。なお、「インテル関連銘柄」のイビデン<4062>は前場はマイナスだったが17円高。新光電気工業<6967>は浮上できず6円安だった。(編集担当:寺尾淳)