【日経平均】大引けでプラスに滑り込み終値14600円台

2013年07月17日 20:11

 NYダウは32ドル安で4日ぶりに反落し未知の高値圏の〃宇宙旅行〃もひと休み。決算はゴールドマン・サックスは良くコカ・コーラは悪いなどまちまちで、バーナンキFRB議長の議会証言待ちの様子見ムードに支配された。日本時間の今夜、何を言うのか世界が息を殺して待つ金融経済の「タイクーン」本人の心境やいかに。17日朝方の為替レートは、ドル円は99円台前半、ユーロ円は130円台半ばで、円高ドル安が進行していた。

 欧米の株安と円高を受けて日経平均も107.32円安の14491.80円と反落スタート。東京市場もまた「バーナンキ待ち」で14500円前後で60円値幅の小動き・膠着状態が続く。上海市場がマイナスで始まってプラスに転じても、後場に入ってもしばらくは変化しなかったが、午後1時台から動き出す。TOPIXがまずプラスになり日経平均も2時前に14600円にタッチした。その背景は円安ではなくファーストリテイリング<9983>が3日ぶりにプラスになったため。その後は14600円をはさむ小動きで、終値は大引けでプラスに滑り込み15.92円高の14615.04円の高値引けで4日続伸。TOPIXは+2.70の1213.24だった。売買高は32億株、売買代金は2兆3547億円で前日より少し増えた。

 値上がり銘柄は928、値下がり銘柄は680だが値動きなしが144と多かった。値上がりセクターはその他製品、鉱業、繊維、鉄鋼、情報・通信、空運など。値下がりセクターはその他金融、食料品、不動産、証券、精密、金属製品などだった。

 日経平均寄与度はファナック<6954>が-8円で、クレディスイス証券のレポートでネガティブなことを書かれて下落した東京エレクトロン<8035>とアドバンテスト<6857>が合わせて-10円だったが、ファーストリテイリングの+34円とソフトバンク<9984>の+22円がカバーした。ソフトバンクは3割を出資する中国の通販サイト運営企業「アリババ」の香港市場再上場観測が流れたため290円高で年初来高値を更新し、売買代金2位と買われていた。

 メガバンクは1円高のみずほ<8411>以外は値動きなしで、証券も野村HD<8604>が5円安と金融関係はふるわなかったが、自動車株はにぎわう。トヨタ<7203>は前場マイナスだったが40円高、富士重工<7270>は31円高で連日の上場来高値更新、マツダ<7261>は6円高で、それぞれ売買代金ランキングの5位、7位、8位に入った。新興国がらみでは、中国市場での販売を今後10年で現在の約3倍の年間300万台に伸ばすと報じられたホンダ<7267>が35円高、ルノーとともにインドで2500億円を投資して低価格車販売をテコ入れすると報じられた日産<7201>が4円高だった。

 日経新聞朝刊の「NEC<6701>がスマホ撤退」という報道は電機関連に相当なインパクトをもたらした。検討していたレノボとの統合も見送るNECは売買高6位と買われて11円高になり、それに関連してリストラ期待が盛り上がりパナソニック<6752>は23円高、シャープ<6753>は17円高と買われた。日立<6501>は11円高、東芝<6502>は2円高。鉄鋼も売買高4位の神戸製鋼<5406>が6円高、同8位の新日鐵住金<5401>が3円高と商いを伴って上昇していた。一方、欧米の投資家に総額168億円の訴訟を起こされたオリンパス<7733>は57円安。同じ精密セクターはキヤノン<7751>50円安、ニコン<7731>9円安と売られていた。

 東レ<3402>はアメリカで自動車向け炭素繊維事業に本格進出するニュースを好感され18円高。サントリー食品<2587>は85円高で売買代金4位に入り、上場10日目ですっかり主力株の貫禄を身につけている。

 日経新聞、読売新聞が朝刊で参院選の情勢分析記事を掲載。議席予測はどちらも「与党大勝でねじれ解消」だが、29円安の東京電力<9501>など電力株も含めてほとんど反応しなかった。もし野党が健闘したりすると22日はサプライズで大幅安になりそうだ。

 この日、京都では祇園祭のクライマックス山鉾巡行だったが、前日引っ越してきた大証銘柄は京都勢の王将フードサービス<9936>が215円高で値上がり率8位、任天堂<7974>が820円高で同12位に入り、ともに上場来高値を連日更新。任天堂は売買代金でも9位だった。京都は京セラ<6971>、村田製作所<6981>、日本電産<6594>、大日本スクリーン<7735>、宝HD<2531>、GSユアサ<6674>、アイフル<8515>などおなじみの主力銘柄を数多く輩出しているが、今回の統合で東京市場での京都銘柄の存在感がさらに増しそうだ。

 この日の主役はその京都と縁が深く2004年には本社の京都移転の話もあった三菱自動車<7211>。売買高ランキングでは東京電力の連続1位を阻止してトップに立ち、売買代金も3位で、16円高で値上がり率ランキング3位に入った。日経新聞に復配して年間配当が10円超になり、配当性向が30~40%になりそうだという観測報道が出て市場が強く反応した。通期の最終利益見通し500億円のうち150~200億円が配当に回り、予定通り8月1日に10株を1株に併合すると25~33円で、復配いきなりの高配当。配当額は優先株の処理や買入消却などで変わる可能性はあるが、スキャンダルで泥にまみれた銘柄だけに、「よくぞここまで立ち直った」という感想を持つ投資家も少なくないだろう。(編集担当:寺尾淳)