ホンダ・フィットは9月に6年ぶりとなるフルモデルチェンジを敢行して全くの新型に生まれ変わる。燃費はJC08モードで36.4km/リッターという世界最高燃費を達成し、トヨタ・アクアを抜いたことが、すでに発表された。
トヨタ・カローラは8月の夏休み明けにハイブリッド車を追加、もちろんフィールダーにもラインアップ。燃費は33km/リッターを達成すると噂されている。フィットとカローラ、両ハイブリッドモデルの概要を予断を含めてじっくり見比べる。
ホンダ・フィット・ハイブリッドについてはプロトタイプ車(とは言うものの、完全に市販バージョンとおなじモデル)を使ったティーザーキャンペーンで少しずつ概要が明らかになってきた。
新型フィットのハイブリッドシステムは、ホンダ「i-DCD(Intelligent Dual Clutch Drive)」と呼ばれるスポーツハイブリッドで、これまでのシステムと大きく異なる。ハイブリッド車のベース・エンジンは、アトキンソンサイクルの1.5リッター直4ツインカムエンジン。これにデュアルクラッチ式の7速トランスミッションである「DCT」と小型軽量なモーターを1基組み合わせる。 バッテリーはニッケル水素からバージョンアップし、アコードと同じリチウムイオン電池。このリチウムイオン電池の寿命・保証期間などが購入条件の肝になりそうだ。
従来のホンダのハイブリッドシステム「IMA」と違い、モーターだけのEV走行も可能で、従来の「IMA」と比べ、燃費性能は35%以上向上したとされる。アコードに次いでスポーツハイブリッドを搭載する新型フィット、非常に楽しみなモデルだ。
新型フィットの注目点はハイブリッドだけではない。普通のガソリンエンジン・モデルも従来どおりラインアップ。エンジンは2種。1.3リッターと1.5リッター。従来どおり1.5リッターにはスポーティなRSも存在し、6速マニュアルトランスミッションも引き継がれるようだ。
エクステリアデザインは斬新だ。ボディサイドを流れる鋭いクサビ状のキャラクターラインは強い印象を与え、従来のミニミニバン的な腰高感はない。フロントマスクも大胆な意匠と思えるが、フィットらしさが残っている。
腰高感がなくなったと述べたが、室内の広さは従来以上。燃料タンクを車体中央に配置するセンタータンクレイアウトを踏襲し、後席の広さに貢献しているのは従来どおり。
一方、カローラ・ハイブリッドは、アクシオ&フィールダーの追加車種という恰好で登場。車両寸法や室内空間などに変化はない。販売店はカローラ店なので、すでに予約を受け付けている販売店もあるようだ。
ハイブリッドシステムは、トヨタ・アクアの1.5リッターエンジンベース+モーターアシストが流用され、ほぼ旧型プリウスのTHSⅡということ。多くの予想記事が出回っているが、ベーシックなモデルの価格はアクシスが190万円台前半、フィールダーが210万円弱あたりになりそう。1.8リッターのフィールダーの価格が202.5〜212万円だから、かなりリーズナブルな設定と言える。ただし、アクアの最低価格車は「とても普通の人のファストカーとして勧められないモデル」だったので、トヨタの戦略的な最低価格車がどんなモデルなのか見極めが必要である。(編集担当:吉田恒)