4月から販売されているパナソニック<6752>の「スマートビエラ」のテレビコマーシャルの放映を民放各社が拒否していることが明らかになった。テレビの電源を入れるとテレビ放送画面の右と下にとインターネットのサイトや検索メニューが表示されるのだが、ひとつの画面内に同時に表示されることが、関係業界(地上放送事業者連絡会 ・BS放送事業者連絡会 )で制定しているガイドラインから外れているというのが理由のようだ。大手の広告主のCMを各放送局が放映しないというのは極めて異例の事態であろう。
「スマートビエラ」について、もう少し詳しくみていこう。まず「ビエラ」の販売が始まったのは2003年。これはテレビを受信して表示する従来のテレビ。そして12年4月発売モデルから「スマートビエラ」と名称を変えた。なにが「スマート」かとういと無線LANユニットを内蔵して、インターネットなどとの連携を強化したのだ。そして、今年の4月に発売されたモデルはより進化して、「マイホーム」という機能が追加された。電源を入れると最初に表示される画面をカスタマイズすることができる。これはもうほとんどパソコンと同じだ。テレビ番組の画面を全画面表示したり、それに加えて前述したようにインターネットのサイトや検索メニューを表示する。しかもなんとこれを音声入力でコントロールできるのだ。
ガイドラインのいう「視聴者から見るとインターネットブラウザと放送画面が一体に見えるため、視聴者は放送番組と(例えば)地域情報も放送局が提供した情報と誤解してしまう可能性がある」。これは「番組の一意性が確保されていない」ので、「このような表示は避けるべきである」としている。「マイホーム」機能はこれに抵触するというわけだ。建前としてはそういうことだろう。
最近はテレビ番組でもツイッターと連動したものが、よく見受けられる。これも「番組の一意性が確保されてない」と思う方もいるだろう、当然である。
しかし答えはノーだ。放送で取り上げられるのは、放送局が選択したものだからだ。ちょっと意地悪な言い方をすれば、放送局にとって都合のよいものを選んでいるだけだろう。これが、「マイホーム」を使えば、選択されていない生のつぶやき(tweet)が同じ画面に流れる。それこそが放送局が怖れていることだろう。つまり、放送局の虚偽や不公正な姿勢が、即座に、リアルタイムで、暴かれるからだ。
余談だが、この放映を拒否されたコマーシャルは、「ビエラ」の公式ウェブサイトのトップページにリンクが張られているのだが、それには「WEB限定CM公開中」と書かれている。こういうのはなかなか良いものである。(編集担当:久保田雄城)