2012年7月に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」(FIT)がスタートしてから、1年が経とうとしている。
各地方自治体をはじめ、農協やメーカー、さらには長野県の「おひさまエネルギーファンド」のように市民に出資を募り、個人・法人あわせて460名より2億150万円を調達することに成功して設立したものや、ソフトバンク<9984>が展開している、一般家庭との共同でつくった電力を売電する「おうち発電事業」など、参入している事業者や形態も多岐に渡る。そして先般、日本郵政も全国約286の施設に太陽光パネルをはじめとした太陽光発電システムを設置し、今年度末からの売電を予定していることを発表した、
再生可能エネルギーは、大きく分けて太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスの5種が対象となるが、他と比べて導入しやすく、企業も参入しやすいことから、太陽光発電が全体の9割を占めているのが現状だ。
また、経済産業省が2011年に発表した「太陽光発電システム等の普及動向に関する調査」によると、住宅用が全体の81パーセントと圧倒的で、次いで、産業・事業用11.1パーセントとなっている。
2009年に復活した、太陽光発電設備の設置に対する国の補助金制度や、地方自治体の補助金制度を上手く活用すれば、かなりお得に設置できることや、2014年4月1日に8パーセント、2015年10月1日からは10パーセントに引き上げられることが決定している消費税増税が追い風となって需要が伸びている中、各ハウスメーカーの取り組みも差別化を図って消費者を取り込もうと、一層の厚みを増してきている。
例えば、2×4(ツーバイフォー)で有名な三井ホーム<1868>は、過去に世界一に輝いたこともあるシャープ<6753>と提携し、通常の屋根に載せるコロニアル据置型と、コンパクトなパネル1枚1枚が屋根材になる瓦一体型を採用。スタイリッシュに展開している。
パナホーム<1924>は、熱さに強く屋根への負担が少ないパナソニック<6752>の太陽光発電システム「HIT」を採用している。
また、「おひさまスマートハイム」のCMでお馴染みのセキスイハイムは、エコな家作りに力を入れており、屋根にソーラーを組み込んだ一体感のある外観美のビルトインタイプを採用。パネルを設置するための架台が必要ないので設備コストも抑えられる。
さらに、中堅メーカーも大手に負けじと積極的に動き始めており、例えば全国350社の工務店・ビルダーが加盟する工務店ネットワーク組織「ジャーブネット」を率いるアキュラホームなどは、家そのものの価格帯も抑えながらも、京セラの太陽光発電システムを標準搭載した低炭素住宅「木和美S+(エスプラス)」を期間限定発売するなど、大手に負けない提案をしている。
2年目を迎え、いよいよ本格化の様相を呈してきた日本版FIT。増税の駆け込み需要も控えており、関連メーカー各社の動きに注目が集まりそうだ。(編集担当:藤原伊織)