【来週の展望】「売られすぎた夏」に別れを告げられるか

2013年08月25日 20:04

 東証1部の「25日騰落レシオ」は8月6日まではずっと100%を超えていたが、7日以降は一度も100%を超えていない。今週は21日に「売られすぎライン」といわれる80%を割り込み、22日には77.32%まで下がったが、23日は86.59%まで戻した。

 日経平均終値の「25日移動平均乖離率」は、7月29日に25日移動平均線を下回ってマイナスになって以来、8月2日と6日を除くと8月はずっとマイナスのままで推移してきた。8日に-4.9%、9日に-4.7%と「売られすぎライン」の-5%に接近し、12日は-5.2%で1日だけそのラインを突破した。今週は20日-4.9%、21日-4.4%、22日-4.4%と再び-5%に迫っていたが、23日は25日移動平均13947円に対して-2.0%まで戻した。

 これでわかるのは、23日の反騰には「売られすぎ」か、それに近い状況からの自律反発分も含まれていたということ。言い換えれば20、21、22日は「普通でない状態」で、それは長続きしないはずだった。

 「売られすぎ」は、チャートからもわかる。日経平均の日足チャート上で、野田前首相の「解散・総選挙」発言が飛び出して「アベノミクス相場」の出発点になった昨年11月14日の安値(下ヒゲの下の端)8653.49円と、5月23日の暴落後の最安値である今年6月13日の安値12415.85円を結んでトレンドラインの「下値支持線」を引き、それを伸ばしていくと、23日時点のそのラインは13650円近辺に位置する。今週の20、21、22日の3日間は安値も終値も下値支持線を下回っていて「売られすぎ」を示していた。

 そうした売られすぎの状態からようやく脱して、来週は中国PMIの50超えサプライズが欧米市場で巻き起こしてくれた円安の追い風を受けながら、秋になる前に過ぎゆくこの夏の忘れ物「25日騰落レシオ100%オーバー」「25日移動平均線乖離率プラス」を取り戻しにいきたい週になる。そのためには、日経平均が25日移動平均線を超えて14000円台を回復することは必達目標になる。

 だが、あえてテクニカル分析にこだわるなら、23日には歓迎できないサインも出現していた。25日移動平均線が13947円で、13957円の75日移動平均線を上から下に抜く「デッドクロス」のパターンを描いていた。テクニカルの法則通りなら、来週は下落トレンドになる。

 しかし、物理の法則と違って例外も現れる。前回のデッドクロスが出現した6月26日以降の日経平均は、下落トレンドどころか4日連騰した後で7月18日までに15.4%上昇していた。その翌日の19日にデッドクロスとは反対の「ゴールデンクロス」が出現したが、しばらくもみあった後で下落し、上昇トレンドどころか7月19日の終値を上回った日は3日しかないまま現在に至っている。このように、テクニカル分析の本の移動平均線のページに書いてあることとは真逆の現象がこの夏、起きていた。

 そんなテクニカル分析のセオリー破りが夏の終わりに再び起きるかもしれず、「9月上旬イベントラッシュ待ち」で薄商いが続く中、来週の日経平均終値の変動レンジは13600円~14500円とみる。夏の忘れ物を取り戻し、「売られすぎた夏」に別れを告げて、実りの秋を迎えられるだろうか。(編集担当:寺尾淳)