【日経平均】ドル高、ユーロ高でリスクオンして295円高

2013年08月23日 20:21

 NYダウは66ドル高で7日ぶりに上昇したが15000ドルは届かない。システムトラブルで売買が約3時間停止したNASDAQも上昇。発表直後の東京市場、アジア市場は空振りだった「中国PMIサプライズ効果」が地球を半周してから効き、ユーロ圏のPMIの好転、ヨーロッパ市場の好調さも追い風だった。長期金利が2.936%まで上昇したドルもユーロも円に対し強くなり、23日朝方の為替レートはドル円が98円台後半、ユーロ円が131円台後半と円安が大きく進行した。

 外資系証券の売買注文動向は売り越しだったが日経平均は218.59円高の13583.76円の大幅高でスタート。すぐ13600円台に乗せ、ドル円99円台、ユーロ円132円台の円安と上海や香港が高く始まったのを背景に10時台は一時13728円まで上昇した。しかし円安の勢いが鈍ると後場にかけて13700円をはさんだ値動き。午後1時を回ると13750円近辺に一段高。長期金利が上昇し、債券を売って株式を買う「リスクオン」が明確だった。ところがインド・ムンバイ市場のSENSEX指数が下落し、2時台に上海総合指数もマイナスで再開して下げ幅をひろげるにつれて日経平均も13700円を下回り、一時は13600円も割り込む。大引けにかけて少し戻し295.38円高の13660.55円で、3勝2敗、前週末から10円上昇して今週の取引を終えた。TOPIXは+22.07の1141.63。売買高は22億株、売買代金は1兆8775億円で今週最多だった。

 値下がり銘柄286に対し値上がり銘柄は1357で東証1部全体の約77%を占める全面高で、全33業種が値上がり。上位は不動産、輸送用機器、ゴム、証券、鉄鋼、機械など。下位は水産・農林、電気・ガス、サービス、空運、陸運、倉庫などだった。

 日経平均プラス寄与度1~3位に「御三家」が入り合計で54円、日経平均を押し上げた。マイナスは電通<4324>、DOWAHD<5714>、東京電力<9501>、マルハニチロHD<1334>、東邦亜鉛<5707>、スカパーJSAT<9412>の6銘柄だけ。26円安で値下がり率4位の東京電力は福島第一原発の放射能汚染水漏れが判明する前から5日続落で、株価は一時500円を割った。汚染水が太平洋に流れ込んだため、近海物が風評被害も含めて大きな影響を受けそうな水産のマルハニチロHDを下落の道連れにした。

 メガバンクはみずほ<8411>3円高、三菱UFJ<8306>14円高、三井住友FG<8316>85円高と好調で、野村HD<8604>も19円高。円安進行を受けて輸出関連の主力銘柄は揃って上昇し、自動車株はトヨタ<7203>170円高、富士重工<7270>71円高、ホンダ<7267>90円高、電機株はソニー<6758>60円高、東芝<6502>16円高、日立<6501>18円高、鉄鋼株は新日鐵住金<5401>8円高、神戸製鋼<5406>7円高で、キヤノン<7751>は32円高、コマツ<6301>は56円高だった。

 インドの株安、通貨安の影響で6日続落したスズキ<7269>は66円高でひと息つく。もっとも、総務省が自動車取得税廃止の穴埋めに軽自動車税の大幅増税に動くという記事が出て、23円高のダイハツ工業<7262>ともども朝はマイナスで始まっていた。三菱自動車<7211>は200億円を投資してフィリピンに新工場を建設するニュースもあり28円高。タイヤメーカーはブリヂストン<5108>100円高、横浜ゴム<5101>27円高、住友ゴム<5110>28円高、東洋ゴム工業<5105>29円高でパーフェクトを達成した。

 三菱重工業<7011>は、グループ企業の三菱航空機が国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」の初飛行を年内から2015年に、1号機納入を2015年度から2017年に延期すると発表したが、円安のおかげで11円高。北米向け輸出が好調で4~9月期の営業利益が2.5倍という観測が出たアマダ<6113>は39円高。経済産業省が3Dプリンターの開発プロジェクトを始動させるという報道で関連銘柄人気が再燃し、代表格の群栄化学<4229>は43円高で値上がり率2位だった。

 国土交通省が民間と共同出資でインフラ輸出の支援組織をつくると報じられ、大成建設<1801>は売買高11位と買われ9円高で年初来高値を更新し、輸出の目玉「新幹線」技術を持つJR東海<9022>は240円高。政府が国内誘致を進める次世代加速器「国際リニアコライダー」の建設予定地について研究者の団体が「北上山地が最適」と発表し、さっそく岩手銀行<8345>が反応して60円高に。建設費が巨額で地元経済へのプラス効果は大きい。この装置に関係が深い浜松ホトニクス<6965>は60円高だった。

 ゲーム関連は、KLab<3656>はアメリカのスマホゲーム大手カバムと業務提携したと発表しストップ高比例配分の150円高で値上がり率トップ。ドワンゴ<3715>は株式分割実施を発表して前場は買われたが、その後は尻すぼみで終値はかろうじてプラス。大幅安で4日続落のガンホー<3765>は16日時点の信用買い残が38万株もあり需給悪化が深刻になっている。公募増資、第三者割当増資、売出しを同時発表して別の意味の需給悪化懸念が出た興銀リース<8425>は295円安と売り込まれ値下がり率2位だった。

 この日の主役は業種別騰落率トップになった不動産とその関連銘柄。三井、三菱、住友の大手3社だけでなく、レオパレス21<8848>が売買高15位と買われて28円高で年初来高値を更新するなど中堅の銘柄まで物色されていた。9月7日が近づくにつれて「東京オリンピック」期待が日増しに高まり、値上がり率ランキングでは11位に三越伊勢丹HD<3099>、16位にJフロントリテイリング<3086>と、東京都心に不動産含み資産を持つ百貨店株が入っていた。(編集担当:寺尾淳)