8月第5週(8月26~30日)は5日間の取引。26日は英国ではバンクホリデーでロンドン市場は休場。30日の金曜日は8月の最終営業日で、取引時間前に国内の経済指標がまとまって出た後、月末のドレッシング買いと週末の利益確定売りが交錯しそうだ。
国内の経済指標は、26日は7月の企業向けサービス価格指数、28日は7月の自動車各社の生産・販売実績、29日は8月上旬の貿易統計、7月の大型小売店(既存店)販売額、小売業販売額、30日は7月の全国消費者物価指数(CPI)、8月の東京都区部消費者物価指数(CPI)、7月の失業率、有効求人倍率、家計調査、鉱工業生産速報値、新設住宅着工戸数、建設工事受注が、それぞれ発表される。28日には日銀の岩田規久男副総裁が京都市で講演を行う。なお、政府は26日から31日まで有識者59人を集めて「集中点検会合」を開催して消費税率引き上げの影響を検証し、9月に安倍首相宛に報告書を提出する予定になっている。
主要企業の決算発表は、26日はダイドードリンコ<2590>の1月期第2四半期、28日はアインファーマシーズ<9627>の4月期第1四半期、29日はパーク24<4666>の10月期第3四半期、ウチダエスコ<4699>の7月期本決算、菱洋エレクトロ<8068>の1月期第2四半期、30日はACCESS<4813>の1月期第2四半期が予定されている。29日には大阪市が本社で訪問看護や訪問介護の事業を展開するN・フィールド<6077>が東証マザーズに新規上場する。
海外の経済指標は、26日はアメリカの7月の耐久財受注、27日は中国の7月の工業利益、ドイツの8月のIFO企業景況感指数、アメリカの6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数、8月のCB消費者信頼感指数、リッチモンド連銀製造業指数、28日はドイツの9月のGFK消費者信頼感調査、ユーロ圏の7月のマネーサプライM3、アメリカの7月の中古住宅販売仮契約指数、29日はフランスの8月の企業景況感指数、ドイツの8月の失業率、消費者物価指数(CPI)、アメリカの4~6月期実質国内総生産(GDP)改定値、30日はインドの4~6月期国内総生産(GDP)、英国の8月のGFK消費者信頼感調査、ユーロ圏の8月の消費者物価指数(HICP)速報値、7月の失業率、8月の消費者信頼感指数確定値、アメリカの7月の個人所得、個人消費支出(PCE)、8月のシカゴ購買部協会景気指数、ミシガン大学消費者態度指数確定値、ブラジルの4~6月期国内総生産(GDP)、9月1日は中国の8月の物流購入連合会の製造業購買担当者景気指数(PMI)が、それぞれ発表される。28日にはブラジル中央銀行が政策金利を発表する。
消費大国アメリカで個人消費関連の指標が上向くと、「世界の工場」中国の製造業の指標が好転し、中国で生産や貿易の指標が伸びれば資源国のオーストラリアやブラジルの経済指標が良くなるという相関関係がある。経済のグローバル化とは、そういうことだ。
アメリカの主要企業の決算発表は、27日はティファニー、28日はウィリアムズ・ソノマ、29日はセールスフォース・ドットコム、キャンベルスープが予定している。なお、来週は東風汽車、ハイアール(27日)、シノペック(28日)、中国銀行、中国工商銀行、中国平安保険、青島ビール(29日)など中国の主要企業の決算発表があり、上場する上海、香港市場の株価指数に影響しそうだ。
東京市場は夏枯れの薄商いが終わらない。今週の東証1部の売買高は14~22億株、売買代金は1兆2566億円~1兆8775億円の範囲で推移した。お盆の14~16日は18~22億株、1兆6246億円~1兆8793億円だったから、株式市場ではまだ「夏休み」の状態が続いている。
その要因はやはり、9月上旬のイベントが多すぎること。4~5日は日銀金融政策決定会合、5~6日はG20サミット、6日はFOMCの量的緩和縮小開始の判断に影響を及ぼすアメリカの雇用統計の発表日で、7日に2020年オリンピック開催都市がIOC総会で決まる。安倍内閣が消費増税の来年4月実施の可否を判断する有力材料の4~6月GDP成長率確定値の発表は9日で、この日はアメリカ連邦議会が休会明けで債務上限引き上げの審議を再開する。10日にはアップルの新型「iPhone」がお披露目される。
これは学校にたとえれば、9月2日の2学期の始業式の翌日からいきなり体育祭と文化祭と中間テストが始まるようなもの。中にはオリンピック開催都市決定のように、東京になるか、ならないかでその後の相場展開が大違いになるものもある。だから「どうなるかわからないから、手を出しづらい」と様子見したい気持ちもよくわかる。来週もおそらく、そんな投資家心理が優勢で商いはなかなか盛り上がらないだろう。
昔なら「閑散に売りなし」だったが、今は「閑散に売り放題」。今週も20日に361円安を喫したため、22日にHSBC中国PMIが一気に50超えというポジティブサプライズを演じても14000円の大台に届かなかった。テクニカル的な言い方で言えば、今週は全般に「売られすぎ」かそれに近い状態になっていたのだが、23日までのデータをもとに、「買われすぎ」「売られすぎ」を判定するのによく使われる2つの指標で確かめてみよう。