NYダウは70ドル安で今年初の4日続落で15000ドル割れ寸前。21日の7月のFOMC議事録発表前の様子見に加え、長期金利が一時2.88%まで上がり住宅投資、個人消費を冷やす懸念で住宅、小売など関連銘柄は弱含み。株価下落それ自体も資産効果を薄れさせ個人消費の下押し要因、株価の悪材料になるのがアメリカ。一時は円安が進んだが、20日朝方の為替レートはドル円は97円台後半、ユーロ円が130円台前半と、前日朝と変わらない水準に戻った。
取引時間前の外資系証券の売買動向は売り越し。日経平均は125.17円安の13632.96円で始まる。下げても13600円台で底堅かったが、午前10時30分すぎから円安とともに下げ幅を圧縮し13700円台に乗せる。しかし前引けは13600円台に戻った。後場は一段安で13500円台に急落して始まる。午後2時頃から再び急落して13500円を割り込み、さらに2時30分前には13400円も割り込む。新興国の通貨も株価も総崩れで、香港に続き上海総合指数も午後に急落、さらに「高級品売れ行き好調」と言われ続けた全国百貨店売上高が7月は2.5%減で3ヵ月ぶりのマイナスと発表されると、円高とセットで日経平均は先物主導で13383円まで下げた。徐々に戻したが終値は361.75円安の13396.38円で、13400円割れは6月以来の水準。TOPIXは-23.86の1125.27で安値引け。売買高は20億株、売買代金は1兆7953億円だった。
値上がり銘柄は195しかない全面安で全業種が下落。マイナス幅が小さいのは情報・通信、電気・ガス、不動産、繊維、建設、サービスなど。大きいのはゴム、輸送用機器、鉱業、その他金融、非鉄金属、海運などだった。
日経平均採用225種でプラスは東京建物<8804>、日揮<1963>、NTTドコモ<9437>、GSユアサ<6674>、関西電力<9503>の5銘柄だけ。一方、ファーストリテイリング<9983>とファナック<6954>の2銘柄で日経平均を58円押し下げた。
トヨタ<7203>160円安、富士重工<7270>55円安など自動車は大幅に下げたが、日野自動車<7205>が123円安で値下がり率3位、スズキ<7269>が193円安で同4位、ヤマハ発動機<7272>が108円安で同8位、いすゞ<7202>が40円安で同14位、ダイハツ<7262>が121円安で同15位と悪かった。アジアの新興国で強い銘柄ばかりだが、アメリカの量的緩和縮小観測や金利高で新興国からの投資資金引き揚げの動きが起き、週明けのインド・ムンバイ市場をはじめタイやインドネシアの株式市場、インド・ルピーのような新興国通貨が軒並み安になったことが大きく影響した。
日経新聞で「電力小売参入・新電力で第2位」と報じられた日本製紙<3863>は20円安だったが、石巻工場で石炭火力を検討と伝えられ住石HD<1514>が6円高で値上がり率4位に入った。受けて立つ電力業界は東京電力<9501>は8円安だったが、関西電力は三菱UFJモルガンスタンレー証券が投資判断を引き上げて1円高だった。
厚生労働省が人材派遣を活用して若者、女性の就業を支援するというニュースで買われたテンプHD<2181>は値上がり率15位、パソナG<2168>は同16位。防犯用品のあいHD<3076>は決算で前期の純利益が24%増と好調で6円高。前日に4~9月中間期業績見通しの純利益を85%上方修正した大幸薬品<4574>は55円高で値上がり率14位に入った。「クレベリン」の売上は前年同期の2倍を超える見込み。澁谷工業<6340>は340円高で値上がり率トップに返り咲いた。新興市場では「対話型アプリの市場規模が10億円を突破」という報道でLINE関連銘柄のアドウェイズ<2489>がストップ高と人気を集めていた。
値下がり率ランキング上位には「希薄化懸念」が揃う。1位の江守商事<9963>は公募増資、2位のタケエイ<2151>も公募増資、7位の江崎グリコ<2206>は自社株167億円の売出しだが浮動株が増えるので希薄化懸念に変わりない。新興市場のバイオ関連のオンコセラピー・サイエンス(OTS)<4564>も公募増資発表で大幅安になっていた。
この日も「飛行機」関係の話題が多い。川崎重工<7012>は2014年中に愛知県にボーイング787用の新工場を建てると報じられたが、前日に上昇した利益確定売りも入り15円安。お盆休みの乗客はJRが前年比3%増に対し航空は11%増で、LCCにも負けなかったがJAL<9201>は190円安、LCC子会社を「バニラ・エア」と改名して海外リゾート路線に就航させると発表したANAHD<9202>は、客室乗務員の正社員採用を20年ぶりに再開するニュースも歓迎されたが後場下げて2円安。スカイマーク<9204>はゴールドマンサックスが投資判断を引き下げて18円安だった。前日ストップ高だった空港施設<8864>は前場11時すぎに140円高まで急騰したが終値は27円高。それでも値上がり率12位だった。
この日の主役は春の相場をにぎわせた不動産、含み資産銘柄。売買高4位、売買代金7位と買われ3円高だった東京都競馬<9672>、1円高のよみうりランド<9671>、3円高の東洋埠頭<9351>や倉庫株など含み資産銘柄が先行し、三井不動産<8801>、三菱地所<8802>、住友不動産<8830>、東京建物など大手不動産株が後を追ったが、終値のプラスは日経平均寄与度トップになった東京建物の6円高だけ。不動産証券化のケネディクス<4321>は売買高7位、売買代金8位で5円高。東京ベイエリアが主要会場の東京オリンピック期待も込められていたが、9月7日はどんな結果が待っているだろうか。(編集担当:寺尾淳)