自転車保険が加入大幅増 加害のリスク保険で

2013年09月05日 12:16

 今「自転車保険」に関心が高まっている。2008年9月の神戸市北区において、小学5年の男子児童(当時11)の自転車事故で、神戸地裁が、児童の母親に「指導しなかった」として、9500万円の賠償を命じた事件は、全国の親たちに大きな衝撃を与えたのは周知の通り。

 それ以来子どもを持つ親たちは、「加害」のリスクとして保険で備えようと「自転車保険」への関心が高まっている。

 自賠償保険への加入が義務付けられている自動車と異なり、自転車には、強制保険が現在のところはない。「自転車に乗る側の責任として保険などで備える必要がある」など専門家は指摘する。自転車は、年齢には関係なく誰でも乗れるが、道路交通法上では、軽車両と言う車両の一種。事故を起こした場合、当然刑事、民事上の責任を問われる可能性があるのだ。こうした自転車事故での高額賠償命令は今回が初めてではない。

 これまで数多く自転車事故での高額賠償判決は出ている。平成17年9月男子高校生が赤信号で、横断歩道を走行の男性(62)を死亡させたとして、東京地裁で4043万円の賠償命令を出た。平成17年11月女子高校生が夜間、携帯電話を操作しながら無灯火で走行、歩行中の女性(57)に重い障害が残る怪我を負わせたとして、横浜地裁が5000万円の支払いを命じるなど、高校生の自転車事故による高額の賠償支払い事件が後を絶たない。

 今回は小学生の児童の事故であり、あまりにも高額な支払い命令とあって、注目を浴びたといえよう。

 こうした事故に備えるための自転車保険は、今ではインターネットで手軽に加入できるとあって、加入者が急増している。自転車保険は、傷害保険に、個人賠償責任保険が特約としてセットになったものが多く、au損害保険の「新自転車ワイドプラン」や三井住友海上火災保険の「自転車向け保険」などが代表格の自転車保険。この他、日本交通管理技術協会の「TSマーク付帯保険」などもある。自転車事故は、たとえ数十万、数百万の支払いでも、家計には大きな負担となる。

 子どもには気をつけるよう言っても、日々行動範囲は広がっており、いつ加害者になるかわからない。その時のためにも備えが必要だろう。(編集担当:犬藤直也)