NATO事務総長、シリアの化学兵器使用を確信

2013年09月03日 21:33

 2日、北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事務総長は、8月21日にシリアにて化学兵器が使用された疑惑に関して、「アサド政権が使用したことを確信している。国際社会の断固たる対応が必要」と述べた。

 この日の記者会見でラスムセン事務総長は、「具体的な情報の提示を受けた。詳細に立ち入るつもりはないが、化学兵器の攻撃があっただけではなく、個人的にはシリアのアサド政権に責任があると確信している」と述べた。

 そして、化学兵器使用疑惑について、国際社会は毅然とした態度を示す必要があるという考えを表明した。

 ラスムセン事務総長は、「数多くの人間の、そして子供たちの生命を奪ったこのような行動を、見過ごすことは絶対に出来ない」とし、「今後、こういった化学兵器による攻撃を防ぐため、国際社会は毅然とした態度を示す必要があるだろう。でなければ、世界中にいる独裁者たちに対して、間違ったシグナルを送ってしまう結果となるだろう」と述べた。

 その一方で、攻撃への対応は加盟国それぞれの判断に任せるとし、シリアと国境を接する加盟国であるトルコを防衛するとした今の計画以外には、NATOとして何か行動を起こすような考えはないという意向を示した。

 ラスムセン事務総長は「シリアで発生した事態への対処が軍事行動であるなら、極めて短い期間で、抑制的で目標の定まった作戦となるはず。なので、そのような短い期間の、抑制的かつ場面に応じた軍事作戦の実施に対して、NATOの指揮や統制システムは必要ない」と語った。

 そして、NATOがシリアからの攻撃に備え、トルコにパトリオット地対空ミサイルの発射システムを配備していることで、「NATOとしての役割はすでに終えている」という考えを示した。

 しかし、万が一トルコがシリアの報復攻撃を受けた場合などには、「それをNATO加盟国すべてへの攻撃と考え、適切な対応を検討する」とした。

 シリアの化学兵器使用疑惑に関しては、アメリカのオバマ大統領が先月の31日、軍事介入を決断した。しかし、介入の時期に関しては明言しておらず、9日以降に議会の承認を得てから決定される模様。(編集担当:滝川幸平)