公益財団法人日本健康・栄養食品協会が発表した「トクホ2011年市場規模調査結果」によると、2011年度の特定保健用食品の市場規模は5,175億円となっているという。
特定保健用食品、通称トクホとは、消費者庁長官の許可を受け、保健の効果(許可表示内容)を表示できる食品。からだの生理学的機能などに影響を与える成分を含んでおり、血圧、血中のコレステロールなどを正常に保持するなどの特定の保健の効果が科学的に証明されている。
このトクホに力を入れているのは食品業界だけではない。飲料業界でも各企業、数本のトクホ商品を持っており、なかでも茶系商品の売上は順調に伸びている。例えば、「血圧」関連のトクホ商品としてダイドードリンコは、血圧を下げる働きを持つ燕龍茶フラボノイド含有の「燕龍茶レベルケア」がリニューアル発売している。「5年におよぶ研究の結果、燕龍茶フラボノイド(ポリフェノール成分)の働きで血管が広がり、血圧に効果のあることを立証しました。今回で3回目のリニューアルですが、より飲みやすい自然な甘みの味に仕上げています」とダイドードリンコ。燕龍茶フラボノイドの原料は中国の茶葉である羅布麻で、中国のお茶の中でも唯一、「薬典」に掲載されているという。また、サントリー食品インターナショナルの「胡麻麦茶」は、胡麻ペプチドを含んでおり、血圧が高めの人に適した飲料。胡麻ペプチドには、血管を収縮する物質を生成する酵素のはたらきを阻害し、血圧に効果のあることが確認されている。大麦、はと麦、大豆をブレンドすることで、スッキリとした香ばしい味わいに仕上げているのが特徴と言えるだろう。「コレストロール」関連のトクホ商品としては、伊藤園の「2つのカテキン緑茶」「2つの働きカテキン烏龍茶」があげられる。両製品とも、コレステロールの吸収を抑制する茶カテキンを含むことで、血清コントロールを低下させるのが特長。コレステロールが高めの食生活改善に役立つという。
「トクホ2011年市場規模調査結果」によると種類構成比としては「コレステロール」「血圧」「中性脂肪・体脂肪」の分野が増加し、なかでも「血圧」が前年比17%増と伸長、「コレステロール」も6%増という結果となっている。メタボリック症候群をはじめ、生活習慣病が取りざたされている昨今、トクホ飲料を日常に無理なく取り入れる人が増加している。また、世代を問わず健康ブームが続いている状況を考えても、今後も増加するであろうトクホ市場に注目したい。