自動車業界、自動車専門紙誌に多少なりとも携わったことがある人なら、小林彰太郎氏の名をご存じだろう。日本を代表する自動車専門誌「CAR GRAPHIC」の生みの親で、世界的にも著名な日本を代表する自動車ジャーナリストだ。筆者も高校生のころから、かの作家・五木寛之氏が絶賛した氏の文体に憧れていたものだ。
今回開催される小林彰太郎フォトアーカイブ展「昭和の日本 自動車見聞録」は、氏が戦前に撮影・収集した東京の街角に駐まったクルマの写真約500枚を展示する特別企画展だ。写真からは往時のクルマだけでなく、背景に写る東京の風景や建築など、昭和初期の生活環境や風俗なども知ることが出来るという。
開催場所は愛知県長久手市のトヨタ自動車が運営管理する「トヨタ博物館本館2階・特別展示室」で、会期は2013年10月5日(土)から12月26日(木)まで。展示は、以下の4つのゾーンに分けて行なわれる予定だ。(1)御料車と上流階級の車(写真74点)、(2)戦前、街角で観たアメリカ車(写真103点)、(3)戦前、街角で観たヨーロッパ車(写真190点)、(4)戦前の日本:国産車、自動車レース、車のある風景(写真112点)。それぞれのゾーンには時代を代表する実車も展示される。(1)から順に、イスパノスイザK6(1935年・仏)、コード810(1936年・米)、モーリスエイト(1937年・英)、ダットサンセダン(1937年・日)という構成だ。
小林彰太郎氏の経歴について簡単に触れておこう。1954年東京大学経済学部卒業。花森安治氏が戦後創刊した、あの「暮しの手帖」の編集方針に共鳴。1962年に二玄社から同志3名とともに理想とする自動車誌を目指し「CAR GRAPHIC」を創刊した。66年?89年、同誌編集長。その後、同誌編集局長を経て、現在は同誌名誉編集長であり、執筆活動を行う現役のジャーナリストであり評論家だ。著書多数。(編集担当:吉田恒)