高いポテンシャルを秘めるも、課題山積の潮流発電

2012年12月18日 09:38

 メガソーラー発電所の建設ラッシュがおこるなど、再生可能エネルギーによる発電が活発化している昨今。しかし、政府による導入補助がなどの支援制度がないなどの理由で、国内では一向に実用化されない発電方法がある。それが潮流発電である。風力発電と同様の原理で、潮の流れをプロペラ等で受けて発電するこの方法は、海外では、イギリスで世界初の商用潮力発電が開始されたほか、アメリカでも国家プロジェクトとして計画が進められている。

 この潮力発電につき、自然エネルギーを推進している北九州市が今年の3月から、関門海峡の潮流を活かした発電の実証実験を実施している。関門海峡は、潮流のスピードが最大で毎秒4.8m程ある国内有数の潮流が速い海峡である。航路等の制約を考慮しない状態を想定し、直径5mの水車を設置した場合、年間で一般家庭約66万世帯相当の電力を発電出来るという。実際には、航路以外にも小型船の航行や漁業、港湾活動やレジャーなど、様々な利用がされているだけに、想定通りの発電量は確保できないが、十分なポテンシャルを持った発電方法と言えるであろう。

 この実証実験において、潮流発電によって発電された電力を用いたイルミネーションがニッカウヰスキー門司工場前の花壇で実施されている。中潮から大潮にかけて(4~5日程度)の発電で3日間程度点灯でき、来年の3月まで実施される。他の地域でも潮力発電の実証実験は実施されているものの、イルミネーションとしての活用は他にないという。

 高いポテンシャルが窺える発電方法ではあるものの、航路等の設置場所だけではなく、貝や藻、漂流物がプロペラに絡む可能性や、長期間海中に置かれる装置の維持管理等、多くの課題を抱えているのが潮力発電である。また、太陽光や風力発電同様、安定的に電力を供給できる方法でもない。実際、本イルミネーションの点灯時間も潮流次第であり、未定とされている。電力を安定して確保する為にも、こうした再生可能エネルギーによる発電技術向上と同時に、蓄電池の技術向上が不可欠であろう。容量も価格も現在のままでは、近い将来、再生可能エネルギーによる発電の普及は失速するのではないだろうか。(編集担当:井畑学)