オバマ大統領、「外交努力でイラン核問題解決」

2013年09月29日 10:18

 24日、アメリカのオバマ大統領は国連総会で演説を行い、イランのロウハニ大統領が「イランの国家安全保障に核兵器の存在する場はない」と明言し、核を巡る対話を行う準備があると表明したことに対して、同国の「核開発問題」解決に向けた下地になりうるとして、慎重な態度は崩さぬものの、その発言を尊重する立場を示した。

 ただし、オバマ大統領とロウハニ大統領の会談は実現せず、双方の間に根強く残る不信感を克服することは容易でないことも浮き彫りとなった。

 ロウハニ大統領は24日、国連総会にて演説を行い、「互いに信頼関係を築き、それぞれの不安を払拭するために、ただちに期限を定めた結果指向の対話に入る」用意があると表明し、「核兵器などの大量破壊兵器は、イランの安全保障や国防政策に存在する場はなく、それは我々の宗教的信条にも、倫理的信条にも反するものだ」と述べた。

 そうした演説を受けてオバマ大統領は、「融和的な発言は透明性があり、かつ実証することが可能な行動で裏付けられるべき」とし、ロウハニ大統領が示した歩み寄りの姿勢を検証する考えを強調し、今後、核問題の解決に向けて具体的な行動を行うように訴えた。

 さらにオバマ大統領は、「障害は大きいかもしれないが、外交的な道を試さなければならないと強く信じている」とコメントし、その上で、ロウハニ大統領の融和的な姿勢がイランの核問題を解決に導く下地になる可能性があるとの見方を示し、他の国とも連携しながら外交努力を進めるよう、ケリー米国務長官に指示したことも明らかにした。しかし、イランに対する経済制裁緩和といった、譲歩措置については何も語らなかった。

 国連主催の昼食会において、両首脳が挨拶を交わすのではないかと予想されていたが、ロウハニ大統領はその昼食会を欠席した。

 アメリカ政府高官は「会談が行われる予定はない」とし、「機会があれば会議の合間に会談の場を持つことは可能だとイラン側に伝えたが、相手からは、国内の事情を考えると、今の時点で会談を行うことは難しいとの答えが返ってきた」と説明した。(編集担当:滝川幸平)