ミャンマー支援にみる安倍政権の「スピード感のある有言実行」の中身

2013年09月29日 19:44

 安倍首相が「ミャンマーの新しい国づくりを、日本は官民一体で応援していく」と語ったのは、5月のことだ。“官”に関してはその2ヶ月前に、3月22日に日本とミャンマーの両政府間で交換公文が、独立行政法人国際協力機構(JICA)とミャンマー間で贈与契約が締結され、12億3300万円の政府開発援助(ODA)が決定されている。そして、今度は“民”のインフラ整備の番である。

 住友商事<8053>、NEC<6701>、NECネッツエスアイ<1973>、東芝<6502>、モリタは、ミャンマーの運輸省航空局と「全国空港保安設備整備計画」に関して、契約を締結した。

 このプロジェクトは、 国際民間航空機関(ICAO)の安全基準を満たすためミャンマーの主要空港(ヤンゴン、マンダレー、ニャンウー、ヘホー、タンダウェおよびダウェー)の航空分野における安全性の向上に寄与するためのもの。

 ドップラーVHF(超短波)無指向性無線航路標識・距離測定装置、飛行方式設計システム、各種航空灯火、通信制御装置などの航空交通の安全性向上に関する機材の納入や、消防車両、X線検査装置、爆発物検査装置など、空港の保安に関する機材の整備を行う。

 ミャンマーの航空需要は旅客数・貨物量共に年々増加しており、広大な国土を持つ同国において、今後経済発展に伴いさらに航空分野の重要性が高まることが確実視されている。しかし各空港では航空機の安全運航に必要な航空保安施設やテロなどを防ぐための空港セキュリティ機材の整備が大きく遅れている。

 特に地方空港の多くは未だ十分な無線施設を持っておらず、低精度の計器飛行や目視による有視界飛行による運航が行われ、天候の急変などの事態に対応することができない。

 このプロジェクトへの各社の取り組みは次の通り。住友商事は、主契約者として全体の取りまとめを担当する。同社は今年5月にNECなどと共に通信網緊急改善案件を受注、また翌6月には鉄道安全性・サービス向上プロジェクトも受注しており、同国のあらゆるインフラ整備・改善に総合的に取り組んでいる。

 NECは航空機と地上局との距離を無線通信で測定する距離測定装置を提供する。また、NECネッツエスアイはその無線通信部分のシステム構築ならびに、本空港・航空保安インフラ構築の工事全般を担当するとしている。
 
 東芝は、主要な航空保安システムであるドップラーVHF(超短波)無指向性無線航路標識(DVOR)を主要3空港(ニャンウー、ヘホー、タンダウェ)に提供する。
 
 モリタは、ヤンゴン・ダウェー・ニャンウー・ヘホー空港の保安機材として空港用化学消防車を担当する。

 安倍内閣の支持率は、9月の時事通信による世論調査によると、61.3パーセントとという高い数字を示しており、前月比7.1ポイントの増加で、4ヶ月ぶりに60パーセント台を回復している。これは2020年夏季五輪の東京開催が決まったことが影響しているのが間違いないだろう。

 しかしそれだけではなく、このミャンマーへの支援のように「スピード感のある有言実行」ともいうべき施策も評価されているのだろう。(編集担当:久保田雄城)