2020年東京夏季オリンピック開催も決まり、東京都は、”世界に負けない東京”作りに本格的に動き出した。その核となるのが、「アジアヘッドクォーター特区」構想だ。
これは、外国企業を積極的に誘致しようとするもの。この構想を生かそうと、東京駅周辺を中心に、東京23区内は再開発計画が進んでいる。アジアヘッドクォーター特区は、23区内の5地域で、外資系企業のアジア拠点を誘致し、投資を呼び込むことで、日本経済を活性化させようというもの。
特区では、外資企業の法人税率を28.9%と韓国・ソウルなどと同水準に引き下げ、外資企業が日本を拠点に、アジアで事業展開しやすい環境を提供するとしている。全国で、約14兆6000億円の経済効果があると試算しており、東京都は、500社以上の誘致の目標を掲げている模様。この特区制度を踏まえ、企業も東京の再活性化に取り組んでいる。
東京駅に近いオフィス街である丸の内・大手町エリアでは、三菱地所が老朽化したビルの立て替えを順次進めている。また特区には、ターミナル駅である新宿駅、渋谷駅周辺や豊洲、有明といった臨海エリア、羽田空港周辺も含まれているようだ。東京の競争力向上には、より利便性の高い交通網の整備が不可欠といえよう。五輪東京開催を機に、交通インフラの整備・更新も一方では進める構想も動き出している。
その注目事業は、成田-羽田の両空港を約1時間で結ぶ、鉄道新線「都心直結線」構想だ。これは、東京丸の内に新東京駅を整備、押上-泉岳寺駅間11キロに新たなルートを設ける。
国土交通省は、平成25年度予算に調査などの関連費を付けた。東京オリンピック開催も決まり、台頭するアジアの力を取り込み、東京を再活性化する官民挙げた試みは、今後さらに加速しそうな勢いだ。その成り行きが注目されよう。(編集担当:犬藤直也)