BYODをご存知だろうか。これは「Bring Your Own Device」の略で、直訳すれば、「あなたのデバイスを持ってきてね」という意味。つまり、業務で私物のIT機器を使用するということだ。BYODという言葉は、海外のレストランなどで、酒酒の持ち込みを許可するという意味の略語BYO(Bring Your Own)から由来している。
大成建設<1801>は、富士通<6702>の「モバらくだ for スマートデバイス」を利用し、全社員9000人向けにBYODサービスの提供を開始すると発表した。このサービスにより、大成建設の半数にあたる建築や土木部門などの外勤の社員は、個人で所有するスマートデバイス(スマートフォン、タブレット)から、メールやスケジュールの確認ができ生産性の向上が図れる。また、勤務報告などの人事系の個人申請といった約80の社内システムに安全にアクセスすることが可能となる。
「モバらくだ for スマートデバイス」は、大成建設様をモデルユーザーとして富士通が開発したサービスで、画面転送の高速表示技術「RVEC」によって、スムーズな画面表示や操作が可能となっている。既存の社内システムを改修することなく、個人所有のスマートデバイスが活用できるため、導入コストの大幅削減を実現する。
大成建設は、社員の半数が作業所に勤務する外勤部門であることから、社員からのBYODのニーズは日増しに高まっていたとしている。営業、設計、施工、調達、労務管理など部門横断で行う業務が多く、ビジネスの生命線であるコミュニケーションを、いつでもどこからでも安全にできるICT基盤の整備は、業務改革を推進する上で不可欠と同社はしている。そこで今回、大成建設は、コミュニケーション基盤強化の一環として、全社員を対象にBYODサービスの提供を開始することにしたという。
このサービスによって外勤の社員は、職場のPCからだけでなく、移動中や隙間時間に個人で普段使っているスマートデバイスからコミュニケ―ションをタイミングよく行うことや、勤務報告などの人事系の個人申請が可能になる。また、海外出張や出向先、育児休暇中や病気療養中など、インターネット環境からしか社内システムにアクセスできない社員が、会社の状況を知っておきたいときにも活用することができる。
大成建設は、今後、このサービスをグループ会社2万人まで拡大し、他の業務システムにも展開する予定。
企業側からすると、このBYOD、メリットが多いが、社員からすると、仕事と私生活の境界線がとても曖昧になってしまうのではないかと、心配になってしまうのは筆者だけだろうか。(編集担当:久保田雄城)