安倍内閣は成長戦略の一環として「女性の活用」を掲げ、指導的地位に占める女性の割合を「2020年までに30%程度」にするとしている。「全上場企業において、積極的に役員・管理職に女性を登用していただきたい。まずは役員に、1人は女性を登用していただきたい」という。
ところが現状は、上場企業における女性役員の割合はたったの1.2%。これをあと7年で3割まで引き上げるには、企業にも個々の女性たちにもかなりの努力が求められるだろう。
平成25年度版の「男女共同参画白書」によると、働くことを希望する女性は303万人もいる。だが彼女たちの希望する就業形態は「非正規雇用」が71.9%を占めており、正規雇用として働きたい女性は17.1%に過ぎない。
働きたい女性の特徴を学歴別にみると、小学校~高卒・短大・高専卒までが約8割を占めている。白書によれば、高校卒までの女性は結婚・出産でいったん離職した場合も非正規雇用で再就職する傾向があるのに対して、短大・高専卒及び大学・大学院卒の女性は、結婚・出産で離職した後に再就職する割合が相対的に少ないという。
次に年齢別に彼女たちの希望する働き方をみると、25~44歳の子育て年齢で非正規雇用を希望する割合が高い。これは子育て中の女性がフルタイムの正社員として働くことがいかに難しいかを示唆している。現状、多くの女性はいったん結婚・出産で退職した後、ほとんどがパートかアルバイトなどの非正規雇用として復職する。安倍内閣が成長戦略に盛り込んだ「育児休業した労働者の円滑な職場復帰」への道は、正社員に限ればかなり険しいといえるだろう。
働きたい女性の7割が「非正規雇用がいい」。これを多いと見るか少ないと見るかは人それぞれだ。だがこの数字だけを見た場合、女性の活用というのは「女性役員を増やす」だけでは不十分だということが分かる。多くの女性は「役員」を目指そうとしていないし、できない現状がある。この事実を前に女性の活用をうたうのであれば、いかにしてパートやアルバイトの女性たちを「活用」していくかが重要ではないだろうか。(編集担当:北条かや)