朝の8時前に仕事を始めると、バナナやヨーグルトの軽食をふるまってくれる会社というとあなたはどんなイメージを持つだろうか?
伊藤忠商事<8001>は、業務遂行の一層の効率化・健康管理などの観点から、働き方を見直し、所定の勤務時間帯の9時から17時15分までの勤務を基本とした上で夜型から朝型の勤務へと改めるべく、新たな取組みを開始すると発表した。
同社は、2012年10月に、フレックスタイム制度の全社一律適用を原則として廃止した。また、社員の健康管理や効率的業務推進の観点から残業削減に努めてきたが一定の効果は見られるものの、更なる残業削減は容易ではないのが現状だという。特に深夜の残業は、社員の疲労に加え、終了時間の区切りがないためどうしても非効率なものになりがち。早朝時間帯であれば始業時刻が9時と決まっているため、限られた時間の中でより効率的な業務が可能だと同社は考えている。
そこで、この取組みは、これまで通り、所定の勤務時間帯の間で極力業務を済ませ、残業はしないという姿勢を基本とするものの、やむを得ず残業をしなくてはならない場合は、翌朝に行うことを目的としているという。深夜勤務(22時から5時)は、従来の「原則禁止」から「禁止」とし、22時には社内を完全消灯し、20時以降の勤務を「原則」禁止とするという。
同社がこの取組を推奨するにあたり、社員に対するインセンティブとして、現在、深夜勤務に対して支給している割増賃金(50%)を9時まで拡大して支給する。また8時前に始業した社員にはバナナやヨーグルトの軽食を無償で支給することを考えているという。
13年10月1日から実施予定している。但し、14年3月末迄の時限措置とし、半年間の残業時間等をレビューし、効果を見極めた上で継続の可否を判断するという。
この取り組みから見えてくることは、一時期のアメリカ的な成果主義の会社から、日本的な社員に対して面倒見の良い会社へと回帰しているということだろう。これはもちろん伊藤忠商事だけの話ではない。結局、日本には成果主義は馴染まなかったのである。(編集担当:久保田雄城)