豊田通商が、北米最大の電力卸売市場に840億円を投じて初参入

2013年10月15日 08:39

 名前からも想像できるように、豊田通商<8015>は、トヨタグループの総合商社だ。もともと自動車分野を得意とする同社だが、エネルギー事業にも積極的に取り組んでいる。その中でも発電事業は、風力・太陽エネルギーなどの再生可能エネルギー発電において全世界規模で展開中である。そして、もちろん火力発電も手がけている。

 豊田通商は、米国で多数の発電所開発実績を持つCPV社(Competitive PowerVenture)およびアークライト社(ArcLight社)と、米国ニュージャージー州でショア発電所(天然ガス火力発電所)を建設・運営すると発表した。

 ショア発電所は発電容量70万キロワットの天然ガス火力発電設備で、総事業費は約840億円、運転開始後は30年以上の長期にわたり、北米最大のPJM電力卸売市場(総発電容量約1億8600万キロワット)を通じて、米国北東部に電力を供給する計画だ。

 同社は、北米で培った電力事業のノウハウを用いて建設・運営に従事し、2016年1月の商業運転開始を目指すとしている。

 米国北東部は、石炭火力発電所・原子力発電所の退役による電力供給源の不足が懸念されており、ショア発電所は、新規電源として同地の電力安定供給に貢献していく。同社は、北米を発電事業分野における重要市場の一つと位置づけ、電力事業の拡大と現地での電力安定供給に取り組んでいく。今後も、同市場での天然ガスの利用・エネルギー効率に優れたシステムの採用・再生可能エネルギーの利用による、環境に配慮した発電事業を積極的に推進していく。

 CPV社は米国・メリーランド州を拠点とし、1999年に設立され、北米地域で、天然ガス火力・風力・太陽光発電事業の開発・管理を行っている独立系発電事業デベロッパーである。またアークライト社は、2001年創業で米国・マサチューセッツ州を拠点とする世界最大規模のエネルギー専門投資会社だ。

 北米の電力卸売市場でも、トヨタグループの底力を発揮することを期待したい。(編集担当:久保田雄城)