今、中国で春物衣料の重要が伸び悩んでいることから、衣料品やインテリア製品に使われている繊維素材の国際価格が下降している。
日本で代表的な合成繊維ポリエステルや、天然繊維の綿花などである。ポリエステルは、日本の合成繊維三大合繊の一つで、原油由来の原料の値下がりが要因の一つとみられる。
今後こうした値下がりが続けば、内需にも影響を及ぼす可能性は否定できない。世界最大の繊維生産国である中国で、今需要が伸び悩んでいるのだ。
この時期には通常、来年の春物衣料の生産に必要な繊維の調達が増えるときだが、糸や綿の手当てが、いつもの年のように、活発化してない状況だ。これは、中国最大の輸出先である欧州の需要の伸び悩みが鈍いことにも起因する。
日本化学繊維協会によると、今年1~7月の中国から欧州への繊維製品輸出額は、272億ドルとなっている。大きく落ち込んだ昨年より、若干増えてはいるが、2年前との比較では、なお15%少ないと言う。
一方で、中国の合繊生産は、年率7%を超すベースで増えている。反面需給が緩いと言った現象が現れている。こうした衣料関係の伸び悩みは、冬物衣料の素材となるアクリル繊維でも目立っている。
主力となるセーターが流行の変化もあり、伸び悩んでいるという。ポリエステル原料も値下がり、主原料でもある高純度テレフタル酸のアジアスポット価格は、1トン1040ドルと高値だった8月上旬に比べ6%以上安い。副原料となる、エチレングリコールも約4%下がっている。
一方綿花については、最大の生産地、米国での収穫が本格化しているものの、その米国で、政府機関の閉鎖の影響を受け、需要家が、買い付けの参考としている輸出成約や需給報告などのデータの発表が見送られた。
こうした現象は、買い付けに支障をきたすといった状況に見舞われる。今回は、国際価格の下落幅が小さいため、日本の繊維市況に与える影響は限定されるが、この事態がこのまま続けば、国産品の割高感が強まり、影響が強まることは必至と見られている。(編集担当:犬藤直也)