米国2014年会計年度の暫定予算が成立せず、10月1日から一部政府機関が閉鎖したことで、米財政問題が深刻化し、一部には、このままの状態が持続すれば、米国デフォルト(債務不履行)危機説を唱える声も出始めた。
米労働省は、4日に予定していた主要経済指標の一つである、雇用統計の発表を延期したことは,世界経済に与える影響は大きく、日本の経済界も今後の成り行きを注視している。
米雇用統計は、連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和など、米国政策の今後の行方を占う意味で、重要な材料なのだ。また政府機関閉鎖や債務の上限問題は、短期的には大きな政治課題といえよう。
ただこうした問題は、これまで何度かあったが、直ぐに解決しているのだが、今回は少し違うようだ。野党の共和党が、民主党の医療保険法改革法(オバマケア)が、ひどいからといって、政府機関閉鎖まで、追い込むのはやり過ぎではないのか、といった批判が続出、現在国民の批判の矛先は、野党共和党に向かっているようだ。
今回の混乱の柱、米政府債務問題は、日本経済への悪影響は必至と見られており、その対策に政府も混乱しているといった状況といえよう。日本の米国債保有額は、7月末で、1兆1354億ドル(約110兆1338億円)と膨大なものだ。これは中国に次ぐ世界第2位の規模といえる。
財務省によると、平成23年度末の外国為替資金特別会計に占める、外国債の金額は、前年度比9兆7245億円増の64兆4339億円で、米国債がかなりの割合を占めると見られる。
今後米議会で、債務上限の引き上げで合意できず、米国債のデフォルト(債務不履行)や、利払いが滞る事態になれば、損失リスクを回避しようと投資家が米国債を売り、価格が下落(金利は上昇)する可能性がある。
こうした場合、日本でも国の債権運用益が減少し、銀行は多額の含み損を抱えることが懸念される。東京外国為替市場や株式市場では円高株安が徐々に進んでおり、解決が長引くようだと、さらに市場の混乱は避けられないと見る向きは多い。(編集担当:犬藤直也)