16日のNYダウは205ドルの大幅高。連邦議会上院の与野党が、2月7日までの債務上限引き上げによる米国債デフォルトの回避、1月15日までの暫定予算案による政府機関の閉鎖解除について合意に達したと発表。オバマケアはごく一部を見直しただけだが、合意案は下院多数派の共和党も賛同を表明していて難なく可決される見通しで、問題の解決が決定的になった。デフォルト回避で金融株のJPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックスは大幅高で、決算を発表したバンク・オブ・アメリカも純利益7.3倍、1株当たり利益が市場予測を上回り株価を上げた。17日朝方の為替レートはドル円は98円台後半、ユーロ円は133円台後半で、円安が進んでいた。
天気もアメリカの財政問題も台風一過だが、解決を織り込み済みなのかCME清算値は14625円と控えめ。日経平均も172.94円高の14640.08円でスタートする。TOPIXは1200台を回復。ドル円は一時99円にタッチした。14600円台の高値もみあいの小動きが長く続き、前場は14636円で終了。その頃、ワシントンではオバマ大統領が記者会見で「デフォルト危機は回避された」と述べ、合意案は上院、続いて下院の本会議で可決されて大統領が法案に署名し、10月1日の政府機関閉鎖開始から16日間の騒動は「オバマ粘り勝ち」で一件落着となった。
後場は前場と同水準で始まるが、午後1時半頃から下落して14600円を割り込み、踊り場はあっても2時台もズルズル下げていく。2時17分に14500円を割って14492円の安値をつけ、TOPIXも1200を割り込んだが、前日の高値が14493円だったので、すなわちこれは「朝のマド埋め」。台風は去っても窓はきちんと閉める。マド埋め完了後はたちまち反転して14550円を超え、終値は119.37円高の14586.51円で7日続伸。TOPIXは+9.47の1206.25と反発した。売買高は20億株、売買代金は1兆7121億円で、売買手控えムードをもたらした大きな問題が解決したばかりで、商いはまだテイクオフしていない。
値上がりセクター上位は保険、その他金融、金属製品、機械、その他製品、食料品など。下位は鉱業、空運、海運など。値下がりセクターはパルプ・紙、石油・石炭、情報・通信の3業種だった。
17日のNYダウは2.18ドル安。一時は140ドルを超える下げから徐々に持ち直し終盤はプラスにもタッチした。S&P500は史上最高値を更新しNASDAQもプラス。下落の主因はIBMの減収決算で、ゴールドマンサックスの総収入も新規失業保険申請件数も市場予測より悪かった。そこから戻せた要因は量的緩和縮小の開始が年を越す観測が出たこと。12月13日までに財政赤字削減策で結論を出す超党派委員会の話し合いは難航が予想され、直後の17、18日のFOMCで緩和縮小を打ち出しづらいという読み。ダラス連銀のフィッシャー総裁は「議会対立が影響し債券購入の縮小を支持する意見が抑えられている」と指摘した。18日朝方の為替レートは、ドル円が98円近辺、ユーロ円が134円近辺で、長期金利低下を背景にドル安が進んでいた。
プラスで終われば2月28日~3月11日以来の8日続伸で今週は全勝になる日経平均は3.09円高の14589.60円で始まるが、すぐにマイナス圏に落ちて小幅安で推移する。しかしTOPIXはしばらくはプラスで「NTねじれ現象」。こんな時は地合いは買い優勢でも利益確定で先物が売られていて、それが一巡すれば反転上昇する。午前9時30分を回るとプラスに切り返し14600円台を回復するが、その後はプラスとマイナスの間を行ったり来たり。11時すぎると再びマイナス圏に沈み、前引けも小幅安だった。
中国の経済統計の発表が多く、7~9月期の国内総生産(GDP)成長率は+7.8%で市場予測の+7.7%を上回り、3四半期ぶりの拡大で景況持ち直しを裏付ける。9月の鉱工業生産は10.2%増で市場予測通り、9月の小売売上高は13.3%増で市場予想を下回った。後場の日経平均は50円安以内の水準でもみあった後、午後1時20分すぎから14500円割れ寸前まで急落する。やはり利益確定売りの金曜日かと思われたが、V字回復して2時台はおおむね30円安近辺の水準で推移。2時40分頃からTOPIXがプラスになり「最後の大逆転」の雰囲気を演出。プラスまであと数十銭まで迫ったが、結局終値は24.97円安の14561.54円で8日続伸ならず。3勝1敗、先週末から156.80円上昇して今週の取引を終えた。前週の上昇幅380円の半分以下で、アメリカの財政問題が解決しても、その前の連騰で織り込み済み。TOPIXは-0.73の1205.52で惜しくもマイナス。売買高は20億株、売買代金は1兆6078億円で、2兆円に一度も届かず薄商いが極まった週だった。
プラスセクターの上位は海運、不動産、金属製品、石油・石炭、陸運、建設など。マイナスセクターの下位は保険、ゴム製品、空運、鉄鋼、証券、パルプ・紙などだった。(編集担当:寺尾淳)